育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

OCD術後の下腿足根関節腫脹と跛行(Brinkら2009)

調査で分かったこと さまざまな年齢の馬におけるOCD症例馬の術後成績調査で、跛行、関節腫脹、屈曲試験について長期的に評価しています。 この調査では、跛行はもともと軽度でああったものの術後には明らかに改善すること、屈曲試験に対する反応も明らかに改…

脛骨にOCDのある馬の下腿足根関節滑膜の組織病理所見と臨床症状の関連(Brinkら2010)

調査で分かったこと 飛節のOCDのなかでも最も多く見つかる脛骨中間稜のOCDについて、臨床的な所見や滑膜の病理組織所見との関連を評価した調査があります。 症状を示さないOCDも多くありますが、関節腫脹を伴うOCDの症例では、病理組織学的に滑膜の細胞増殖…

飛節OCDに対する背側と底側ポーチに対する関節鏡手術と臨床的特徴と追跡調査(Jamesら2016)

OCD

調査で分かったこと 飛節OCDのある症例では、背側だけでなく底側の関節包をルーティンに検査することでメリットがあるかもしれないという報告。 実は軟骨のごく小さな病変が約半分にみられ、10%ではX線検査で検出できない骨片を摘出することができました。…

飛節OCDに対する関節鏡手術の結果(Mcllwraithら1991)

飛節のOCD 下腿足根関節(飛節)のOCD好発部位は、脛骨中間稜、脛骨内果、距骨滑車などが挙げられます。 OCDは骨軟骨形成過程で異常が起き、離断してしまった骨軟骨片をさします。OCDは関節腫脹と関連することがあり、関節炎が持続すると跛行の原因となるこ…

飛節のOCD術後のスタンダードブレッドとサラブレッド競走馬の術後パフォーマンス(Beardら1994)

調査で分かったこと 米国サラブレッドにおける調査では、競馬に出走する前の2歳までに飛節OCDが検出され、関節鏡手術により除去手術を行った症例は、2歳時までに43%、3歳時までに78%が出走しており、その母系兄弟と出走率に差はありませんでした。 (adsbyg…

馬の大動脈弁閉鎖不全の心エコー検査による評価(Reefら1987年)

調査で分かったこと 大動脈弁の逆流がある症例では、心エコー検査において左心室拡大、大動脈径拡大、左室内径短縮率(FS)の増大が確認されました。 聴診において大動脈弁領域と心尖部で聞こえる全拡張期のデクレッシェンド型雑音は、大動脈弁閉鎖不全症の診…

腕節骨片を関節鏡で除去したサラブレッドとクォーターホースの10年間の調査(Grahamら2020)

調査で分かったこと 腕節の骨片骨折を発症し、関節鏡により除去した症例についての回顧的調査。この術式が報告されてから長らく治療成績をまとめた報告はありませんでした。 2020年にサラブレッドとクォーターホースの競走馬について治療成績が報告されまし…

蹄骨伸筋突起の関節鏡視下掻爬術の長期成績13症例(Croweら2010)

蹄骨伸筋突起の骨折は、外傷(外力)または過伸展が原因と考えられますが、急性期に気づかれることは少ないとされています。特に成長期に発生した骨折は、症状が軽度なため気づかれにくく、慢性の病態として蹄冠部の腫脹や蹄角質の異常がみられ、X線検査で発…

第三中手骨遠位掌側の疲労骨折:診断は難しいが予後は良い(Shanら2022)

球節の少し上、第三中手骨の遠位掌側には横方向の疲労骨折が発生することがあります。この骨折は程度が様々な跛行を呈し、球節の捻挫のような軟部組織の腫脹を伴うことが多いですが、他の疲労骨折と同様に初診時のX線検査では明瞭な病変が検出できないことが…

馬の脛骨疲労骨折に対するシンチグラフィグレード分類の適用42症例(Ramzanら2003)

疲労骨折 ヒト医療では、スポーツ選手や部活をしている学生におきやすいとされている脛骨疲労骨折ですが、馬でも発生することがあることはこれまでに触れてきたとおりです。 脛骨疲労骨折の好発部位 日本整形外科学会より 「疲労骨折」|日本整形外科学会 症…