育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

若いサラブレッドのP1骨折の成績(Ellisら1987)

第一指骨/趾骨(P1)の矢状骨折はさまざまなタイプに分類されていて、古い文献のため矢状骨折の長さの分類は最近のものとは異なっています。 矢状骨折は、短い不完全骨折が骨体の半分以下、長い不完全骨折が骨体の半分以上および完全骨折に分類されています…

馬における胸腰椎の疲労骨折と病理学的所見(Hausslerら1998)

いわゆる背骨を構成している胸椎、腰椎および仙椎と、それに連続する骨盤は、馬に特徴的な構造と安定性があり、このことで人間が乗ることが可能になっています。 しかし、競走中の負荷がこれらの構造に蓄積されることにより疲労性障害を起こし、最終的には骨…

馬の炎症性腸疾患【IBD】 診断とコルチコステロイドと駆虫薬による治療成績(Kaikkonenら2014)

馬の炎症性腸疾患【IBD】は、腸管にさまざまな炎症細胞が集積する病態の総称です。 主となる細胞や炎症がおよんでいる部位などから、いくつかの病型に分類されます。主なものは、リンパ球ー形質細胞性腸炎(LPE)、肉芽腫性腸炎(GE)、全身性好酸球性上皮親和性…

馬の炎症性腸疾患【IBD】 これまでにわかっていること④ 治療、予後、結論(Vitaleら2022)

治療 治療の目的は、馬が抗原になりうる食べ物、寄生虫および環境要因に暴露されることを少なくすることである。 犬では、治療法が標準化されていて、治療の最初の一歩は食事の変更であり、タンパク質や炭水化物の供給源もしくは市販されている加水分解され…

馬の炎症性腸疾患【IBD】 これまでにわかっていること③ IBDの臨床的および診断的評価その3(Vitaleら2022)

IBD罹患馬の臨床的および診断的評価 多くの臨床家によってIBDの明確な診断ガイドラインが腫脹されたが、筆者の意見では、臨床検査は段階的に進めていくべきで、侵襲の小さい検査から始め、侵襲の大きい検査に進むべきである。IBDは非特異的な臨床症状が特徴…

馬の炎症性腸疾患【IBD】 これまでにわかっていること③ IBDの臨床的および診断的評価その2(Vitaleら2022)

IBD罹患馬の臨床的および診断的評価 多くの臨床家によってIBDの明確な診断ガイドラインが腫脹されたが、筆者の意見では、臨床検査は段階的に進めていくべきで、侵襲の小さい検査から始め、侵襲の大きい検査に進むべきである。IBDは非特異的な臨床症状が特徴…

馬の炎症性腸疾患【IBD】 これまでにわかっていること③ IBDの臨床的および診断的評価その1(Vitaleら2022)

IBD罹患馬の臨床的および診断的評価 多くの臨床家によってIBDの明確な診断ガイドラインが腫脹されたが、筆者の意見では、臨床検査は段階的に進めていくべきで、侵襲の小さい検査から始め、侵襲の大きい検査に進むべきである。IBDは非特異的な臨床症状が特徴…

馬の炎症性腸疾患【IBD】 これまでにわかっていること② IBDの分類各論(Vitaleら2022)

肉芽腫性腸炎(GE) 初めに報告されたIBDのタイプで、この100年で最も多く報告されてきたが、近年では見られなくなってきた。特徴は粘膜固有層レベルでのリンパ球およびマクロファージの浸潤があり、形質細胞や虚細胞の数は様々である。絨毛の萎縮が顕著で、病…

馬の炎症性腸疾患【IBD】 これまでにわかっていること① IBDの分類総論(Vitaleら2022)

はじめに 炎症性腸疾患(IBD)は、ヒトと動物の両方において消化管の炎症の再発を特徴とする衰弱性疾患として記述されている一群の消化管疾患である。馬では、IBDは粘膜や粘膜下織に異なるタイプの炎症性細胞が浸潤するものとして認識され、発症機序はまだ解明…

馬における運動誘発性肺出血:北米大学獣医内科によるコンセンサスステートメント⑦ 考察と勧告(Hinchcliffら2015)

EIPHが馬に与える影響について、これまでに行われた調査をワーキンググループが精査してエビデンスを評価したものが公開されています。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); EIPHについて考察と勧告 コンセンサスのパネルから言えることは …