育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧

大腿骨内側顆のボーンシストに対する搔爬術(Whiteら1988)

1988年にまとめられた報告では、ボーンシストに対して関節切開による病変部の搔爬術が行われていました。術創に関するトラブルは思ったほど少なく、跛行の改善が得られる治療法として報告されました。 この報告においても、病変部の搔爬術後に病変部のX線所…

6から18ヶ月齢の馬の膝関節X線所見(Santschiら2020)

大腿骨内側顆の骨嚢胞(ボーンシスト)はどの時期に形成されるのでしょうか。1歳せりではよく見かける所見ですが、当歳の時期からすでに所見があるのでしょうか。日本の日高地方ではせりに向けて1歳の7月から9月に検査が行われるため、3月から4月に生まれた…

馬の胸腰椎における脊椎症のX線およびシンチグラフィによる評価:回顧的調査(Meehanら2009)

胸腰椎、腰仙椎および仙腸関節の病変はプアパフォーマンスの原因になることが明らかにされてきました。棘突起衝突や椎体間関節炎についてよくわかってきましたが、脊椎症についてはまだ情報が限られています。脊椎症は椎体間の関節癒合または変形性疾患で、…

カリフォルニアのクォーターホースとサラブレッド競走馬における尾側腰椎の骨折(Collarら2015)

椎骨の病態は馬における跛行や背部痛の原因となりますが、腰椎には手が届かず、診断や治療の方法が限定されていて難しいのが現状です。しかしながら、競走中に椎骨の骨折が起こることがあり、そのほとんどは腰椎で発生します。腰椎の骨折は、典型的には外傷…