2025-01-01から1年間の記事一覧
馬の腸炎は非常に重要で致命的な疾患の一つであり、致死率は25−35%と報告されています。健康な馬と腸炎症例馬の腸内細菌叢を比較すると、健康な馬の方がα多様性が大きいことがわかっています。α多様性が大きいと言うことは菌の種類が多く、偏りが少ないこと…
糞便移植は、ヒトのX大腸炎(Clostridioides difficile腸炎)などの重篤な腸炎や腸内細菌叢の著しく変化した症例に対しての効果が報告され、馬に対しても試験的な投与が行われてきました。反芻獣である牛においてはルーメンジュースの移植はより一般的な治療…
第三手根骨の盤状骨折は、これまでにも紹介してきたとおり、競走馬において一般的に見られる骨折となっています。 大きな骨片は螺子を用いた内固定手術が行われ、比較的良好な予後が示されています。 矢状方向の盤状骨折では67%の競走復帰率が報告されてい…
繋靱帯炎について色々調べ物をしていて、日本国内における疫学的調査は非常に限られているようでした。 JRAトレセンに所属する平地競走馬について、浅屈腱炎と繋靱帯炎の有病率を調査したものです。JRAの医療記録から回顧的に調査されたものですが、注目すべ…
慢性消化管疾患の診断ツールとして消化管の生検が必須ですが、犬や猫では確立された手技があるものの、馬では生検についての情報が限られています。 したがって著者らのグループはこれまでに発表されてきた研究のレビューを行い、馬での消化管生検手技につい…
レポジトリ、プレレポジトリが普及している昨今ですが、X線検査には被ばくがつきものであることは忘れてはいけません。 日本の一般的な競走馬のセリで提出されるレポジトリのX線検査画像の枚数は球節16枚(4方向×4肢)、腕節6枚(3方向×2肢)、飛節6枚(3方…
膝関節における大腿骨滑車のOCD病変は、この関節で最も多く見られるOCD所見です。 症状がない場合もありますが、いったんOCDによる関節炎や跛行を呈してしまうと、手術後にも症状がなかなか改善せず、予後が良くないこともあります。 しかし、骨軟骨症は運動…
OCDの病態形成についてはわかっていないことも多いですが、軟骨内骨化が起きる部位への血液供給が障害されることが大きく関わっていることがわかってきています。 飛節のOCD 参考文献 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 人の骨軟骨症(OC)研究で得られる情報は慢性的な…
球節の矢状骨折における整復術中の関節鏡は、Mc3やMt3の顆骨折では一般的に行われる手技となってきたが、P1矢状骨折においては普及していない。 P1関節面の整復術中に関節鏡による関節面のズレの評価および関節軟部組織の評価を行うことは大変有用であると考…
馬の体重減少はよくみられ、栄養や歯科の問題または寄生虫が関与していることが多いです。体重減少のメカニズムはざっくり分類すると、栄養の利用、消化および吸収能力の減退や栄養が十分に使えないこと、栄養の喪失および要求量が増加することが挙げられま…