育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

骨折

馬の軟骨下骨損傷診断にMRIを用いた11症例(Zubrodら2004)

関節を原因とする跛行と特定できているのにX線検査では診断できない(明確な所見が得られない)ときにはMRI検査が有効です。 特に軟骨下骨の損傷はMRIでみられる特定のパターンがあり、X線検査ではこれを検出することが難しいことがわかっています。 単純X線…

競走用でない馬のP1不完全骨折をX線とCTで評価した(Brünisholzら2015)

P1不完全骨折と診断した競走用でない馬におけるX線とCT検査を用いた骨折線の評価を行った報告です。 調査対象となったのは、ほとんどは温血種で、サラブレッドよりも少し大きいサイズ(平均576kg)、年齢は平均9.5歳でした。 CT検査では骨折形状をより詳細に…

腕節骨片を関節鏡で除去したサラブレッドとクォーターホースの10年間の調査(Grahamら2020)

調査で分かったこと 腕節の骨片骨折を発症し、関節鏡により除去した症例についての回顧的調査。この術式が報告されてから長らく治療成績をまとめた報告はありませんでした。 2020年にサラブレッドとクォーターホースの競走馬について治療成績が報告されまし…

蹄骨伸筋突起の関節鏡視下掻爬術の長期成績13症例(Croweら2010)

蹄骨伸筋突起の骨折は、外傷(外力)または過伸展が原因と考えられますが、急性期に気づかれることは少ないとされています。特に成長期に発生した骨折は、症状が軽度なため気づかれにくく、慢性の病態として蹄冠部の腫脹や蹄角質の異常がみられ、X線検査で発…

脛骨外果骨折の関節鏡による治療26頭(Smithら2011)

脛骨外果骨折について連続して取り上げます。 脛骨外顆骨折 この骨折は、飛節の外側を構成する脛骨の外果に発生します。外傷に関連して発生することが多く、転倒や転落などのアクシデントはこの疾患を疑う上でのキーとなる稟告です。育成期には、凍った地面…

脛骨外果骨折の関節鏡による骨片除去:13頭の回顧的調査(O'Neillら2010)

脛骨外果骨折について連続して取り上げます。 この骨折は、飛節の外側を構成する脛骨の外果に発生します。外傷に関連して発生することが多く、転倒や転落などのアクシデントはこの疾患を疑う上でのキーとなる稟告です。育成期には、凍った地面での転倒や、ウ…

馬の脛骨外果骨折16頭(Wright1992)

脛骨外果骨折について連続して取り上げます。 脛骨外顆骨折 この骨折は、飛節の外側を構成する脛骨の外果に発生します。外傷に関連して発生することが多く、転倒や転落などのアクシデントはこの疾患を疑う上でのキーとなる稟告です。育成期には、凍った地面…

非競走馬におけるP1短矢状骨折に対する螺子固定による骨接合術の長期成績(Brynerら2020)

先日紹介した乗用馬におけるP1の短矢状骨折の治療成績においては、外科的な治療を選択することで運動復帰できる可能性があることが示唆されました。 equine-reports.work 2020年に発表された温血種を主とする乗用馬の治療成績の報告では、31頭中27頭がもとの…

競走用でない馬のP1短矢状骨折(Kuemmerleら2008年)

球節を構成する第一指(趾)骨(P1)における矢状骨折は競走馬に多く発生しますが、乗用馬にも発生することがあります。 なかでも短い矢状骨折については、軟骨下骨の骨硬化やシスト状病変を伴うことがあることがあることが報告されています。保存療法では跛…

球節背側骨片骨折に対する非外科と外科処置の競走成績(Ramzanら2020)

背景とはじめに 調査でわかったこと 参考文献 背景とはじめに 球節背側の骨片は、1回の大きな負荷もしくは慢性的な繰り返し負荷によるリモデリングから二次的に発生する可能性があります。 この骨片に対する治療は、外科的に摘出する方法とその成績が報告さ…

球節の骨片骨折に対する非外科と外科的処置(Ramzanら2020)

背景とはじめに 球節背側の骨片は、前肢でP1背内側に最も発生しやすく、偶発所見の場合もあれば、関節腫脹や跛行を伴うこともあります。1回の大きな負荷もしくは慢性的な繰り返し負荷によるリモデリングから二次的に発生する可能性があります。 この骨片に対…

競走馬において運動の距離とスピードは骨折リスクに影響する(Verheyenら2006年)

競走馬の骨折と調教内容について分析することは、疾病発生リスクを評価するうえで重要ですが、様々な要素が関わっていることやデータが取りにくいことが障壁となります。同一または同じような調教場を使って調教しているサラブレッドを対象にすることで、均…

英国競走馬における第一指骨近位背側骨軟骨片の発生分布(Walshら2018)

はじめに 様々な血統や用途の馬において、球節内の骨片骨折は背内側に多く発生することが報告されています。球節に骨折した場合には骨片は角がありますが、慢性または陳旧性の骨片は角がとれた丸い形をしています。 研究でわかったこと 英国におけるサラブレ…

球節に起因する跛行の馬にみられる低磁場MRI所見131頭(Powell2012)

球節領域の損傷はさまざまな病態があり、微小な変化は単純X線検査だけでは検出できない可能性があります。MRIでは、骨折や骨軟骨損傷に関連した信号パターンが続々と明らかにされてきています。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); はじめ…

競走馬の肩甲骨骨折と疲労骨折

診断麻酔で腕節または前腕以下のブロックに反応しなかった場合、より近位の肘や肩関節などを疑って検査を進めます。 肩甲骨や上腕骨の骨折は、先行する疲労骨折に関連して発生すると考えられています。 肩甲骨骨折の起きやすい部位は、遠位で肩甲棘と頚部の…

第一趾骨近位底側骨片の関節鏡視下除去23頭(Simonら2004年)

第一趾骨底側の骨片は、若齢馬で症状を伴わないOCのような症状としてみられる骨軟骨片もあれば、運動負荷が増大して付着する靱帯から受ける力によって裂離骨折を起こすこともあります。 後肢での発生が多いこの骨折に対し、スタンダードブレッド競走馬におけ…

脛骨内側顆間隆起の骨折21症例(Rubio-Martinezら2020)

はじめに 文献でわかったこと 参考文献 はじめに 脛骨顆間隆起の骨折は、X線検査において膝関節内の骨片として認識されます。この骨片の鑑別診断として、前十字靱帯の付着部裂離骨折がありますが、実は発症メカニズムが少し異なるかもしれません。 (adsbygoo…

副手根骨前面骨折と手根管腱鞘への影響(Minshallら2014)

文献でわかったこと 参考文献 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 文献でわかったこと 副手根骨の骨折はまれですが、なかでも前面の完全骨折が最も多いとされています。副手根骨が前面で骨折した場合の多くは粉砕した骨片が発生し、手根管…

若齢馬における近位指節間関節背内側の骨軟骨片(Fjordbakkら2007)

はじめに 文献でわかったこと 参考文献 はじめに 近位指節間関節の骨片は、レポジトリ検査などでまれに見つかることがあります。 しかしながら、この骨片の臨床症状や競走成績に与える影響に関する調査は多くなく、判断が難しいことがあります。 (adsbygoogl…

第一指(趾)骨背側骨片除去後の競走成績(Colonら2000)

球節における第一指(趾)骨骨片骨折は競走馬で非常に多くみられる骨折で、多くはX線検査で診断されてきましたが、近年では超音波検査でより詳細に関節を観察して骨片が検出できることが示されています。 equine-reports.work (adsbygoogle = window.adsbygo…

球節背側骨片の診断におけるX線と超音波の比較(Plevinら2021)

前回に続いて球節の骨軟骨片の診断に関する超音波検査とX線検査の比較。 前回はこちら equine-reports.work (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); サラブレッド競走馬の前肢球節に限定した比較を行ったところ、X線検査の骨片検出感度は47%で…

球節背側骨片の診断におけるX線と超音波の比較(Vanderperrenら2009)

球節背側の骨片は、標準的な4方向(内外・背外掌内、背掌、背内掌外像)のX線検査で検出できます。しかし、ときにはわずかなくぼみや透過像として描出されることがあり、このような場合には超音波検査で詳細な観察をすることで骨片の有無や損傷の部位を明ら…

上腕骨や骨盤の完全骨折リスクと高速調教をしない期間の長さとの関連(Carrierら1998年)

アスリートである競走馬にとって、休養期間を設けることは身体的にも肉体的にも必要なことです。しかしながら、完全なリフレッシュをとれることはあまりなく、比較的強度の低い運動は続けられます。 数ヵ月の休養期間をとったあと、強い調教を始める場合には…

ニューマーケットの3つの大きな調教場における運動器損傷(Ramzanら2011年)

育成期と競走馬では調教強度が違うのもあると思いますが、ニューマーケットの調教場では運動器損傷の発生率がおよそ4頭に1頭で、脛骨骨折の比率が最も高いというのは意外でした。以前英国から来られた先生と、どれくらい運動器疾患が発生しているのか話した…

第一趾骨底側骨片を原因とする跛行19症例(Barclayら1987)

後肢球節において、第一趾骨底側の骨片は多く見られる所見です。この部位は種子骨靭帯や輪状靭帯の付着部が剥離することや、骨軟骨炎に関連した骨片として発生します。骨軟骨炎で関節面におよばず関節炎と関連しない場合には予後は良好です。関節面におよん…

競走馬の重篤な骨折と先行する損傷の分類と記録(Stover 2017年)

Stover先生は、重篤な骨折に先行する損傷(前駆病変)があることに注目し、さまざまな調査を行い文献にされています。 equine-reports.work equine-reports.work equine-reports.work equine-reports.work equine-reports.work equine-reports.work equine-r…

後肢近位趾節間関節の骨片摘出術3頭(Schneiderら1994)

後肢近位指節関節に骨片骨折と、それに関連した関節の腫脹と跛行がみられた症例に対して、関節鏡手術により骨片摘出を行った症例報告。これによると、3頭中2頭は問題なく競走復帰できました。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 3頭の馬(2頭のスタンダードブレッドと…

大腿骨第三転子の骨折8頭(Bertoniら2013年)

大腿骨第三転子の骨折は、後肢跛行で近位部の損傷を疑う場合の鑑別診断のひとつとなる。 超音波検査で8/8が診断できた。3/3は頭外-尾内25度斜位(斜め前25度)からのX線撮影で離断した骨片を描出できた。骨折部には7/8で骨付着部症(Enthsopathy)がみられた…

大腿骨第三転子の異常所見20頭(Shields 2015年)

大腿骨外側面に位置する第三転子は、浅臀筋、大腿筋膜張筋、大腿方形筋などが付着する部位で、主に外傷(外力)によって骨折することが多いと考えられていて、原因の多くは点頭や馬房、扉、ゲートなどにぶつかることが挙げられています。 完全に骨片が離断し…

外掌側手根骨間靱帯の剝離骨折の特徴とX線所見(Beinlichら2004)

尺側手根骨には、骨片様の像が見られることがあります。背外-掌内斜位像は、レポジトリ検査やルーチンなX線検査でも撮影される像ですが、これにより骨片の形状がよく評価できます。また、背掌側像では骨片がどの位置にあるか把握する助けとなります。 手根骨…