育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

腕節の内側側副靱帯損傷(Quineyら 2020)

関節の側副靱帯は、内外方向の安定性を保つ構造です。これが損傷してしまった場合、重度の跛行を呈し、場合によっては運動復帰が難しいことも多いです。 また、関節の安定化が得られるまで、長期間の運動制限が必要となります。 馬術競技馬の腕節側副靱帯損…

繫靱帯脚部のSplitには非負重時の超音波検査(Werpyら 2020)

繫靱帯脚部の評価として一般的に用いられる検査方法は超音波検査です。しかし、近年より高度な画像診断であるMRIが立位鎮静下で実施可能となり、これまで判明していなかった病態が明らかになってきました。MRIと超音波検査では画像診断装置の仕組みが違うた…

中心および第三足根骨盤状骨折の内固定術成績(Winbergら 1999年)⑤

その① はじめに equine-reports.work その② 調査の内容 equine-reports.work その③ 成績 equine-reports.work その④ 考察前半 equine-reports.work 考察 手術手技について MartinとHerthelらが1992年に報告した4.5mmハーバートスクリューによる整復方法があ…

中心および第三足根骨盤状骨折の内固定術成績(Winbergら 1999年)④

その① はじめに equine-reports.work その② 調査の内容 equine-reports.work その③ 成績 equine-reports.work 考察 病態について 筆者らの病院で行った内固定術のうち5%がこの骨折。スウェーデンではスタンダードブレッド競走馬に多くみられる。 遠位足根骨…

中心および第三足根骨盤状骨折の内固定術成績(Winbergら 1999年)③

その① equine-reports.work その② equine-reports.work 成績 臨床症状 レースや強調教後に中程度の跛行(グレードは10段階でほとんどが4-5)。発症から10-14日の期間で徐々に良化し、来診時グレード2-3であった。 身体検査 飛節の背側で熱感・疼痛あり。腫…

中心および第三足根骨盤状骨折の内固定術成績(Winbergら 1999年)②

その① equine-reports.work 症例 スウェーデンの馬病院で足根骨盤状骨折を診断し、内固定手術した20頭。 【血統と用途】 18頭はスタンダードブレッド競走馬、1頭はサラブレッド競走馬、1頭はスウェーデン温血種で馬術競技馬。 【年齢】 年齢は1-8歳で、15頭…

中心および第三足根骨盤状骨折の内固定術成績(Winbergら 1999年)①

はじめに 足根骨の骨折は、競走馬で報告され、特にスタンダードブレッド種での治療報告が多い疾患です。第三足根骨のほうが中心足根骨よりも多いという報告もありますが、まだ症例数の多い報告はありません。骨折の発生は、足根骨の背側面で最も起きやすいと…

さまざまな用途の馬の蹄骨骨折285頭と223頭の長期経過(Rijkenhuizenら 2012年)

蹄骨骨折にはさまざまな型があります。 単純な骨折でも、蹄関節におよぶ骨折は癒合することが難しいだけでなく、二次的な骨関節炎を起こす可能性が高く、跛行が持続してしまうことも多くあります。 ここでは、成馬になってから骨折した、さまざまな馬の異な…

馬の炎症性腸疾患【IBD】

人における炎症性腸疾患は、特定疾患に指定されている(いわゆる難病指定されている)潰瘍性大腸炎やクローン病に代表される腸に炎症を起こす疾患です。 近年、遺伝、環境、腸内細菌群など、さまざまな要素が関わっていることが判明してきましたが、その正確…

第三中手または中足骨遠位の疲労性傷害後の競走馬としての予後(Tullら 2011年)

文献で分かったこと 球節の上の部分にあたる、第三中手骨または第三中足骨の疲労性傷害は、平均3歳の競走馬に発生しやすく、オスのほうがメスより多いことがわかりました。 95%が診断後に出走することができ、診断から出走までの期間は平均200日程度でした…

楔状の第三足根骨は盤状骨折発症と関連する(Bairdら 2001年)

第三足根骨の盤状骨折は、主に競走馬にみられる骨折のタイプです。 この骨折には、なりやすい骨の形状があることが文献で示唆されています。購買前検査(レポジトリー)などで発見した場合、将来的に骨折につながる懸念があることは認識しておくべきです。 /…

足根骨診断のための画像診断の比較(Danielら 2012年)

馬の臨床においてもMRIは関節や骨の状態を評価するのに有用であることが示されています。 飛節においてもこれは同様で、他の画像診断よりも詳細な評価が可能で、病的な所見を検出するのに優れています。 特に骨折の診断では通常の4方向のX線検査では検出でき…

第三足根骨盤状骨折の治療5例(Lindsayら 1982年)

飛節を構成する第三足根骨の盤状骨折に関する治療報告は数報あります。 古い報告では、スクリューによる外科的な整復を行った2頭は競走復帰できたが、保存療法をとった3頭は、長期的な休養にもかかわらず骨関節炎が進行して跛行が残り、調教復帰がかなわなか…

競走用でない馬の中心足根骨骨折の形状と術後長期予後(Gunstら 2016年)

競走以外の目的で使用されている馬にも足根骨骨折が発症することが知られています。 今回紹介する文献では、乗用の馬でも、CT画像をもとにした理想的な内固定術を行うことで、跛行なくもとの運動や競技に復帰できることが示されています。 足根関節の骨棘や…

非競走馬での中心足根骨骨折4例(Knuchellら 2016年)

中心足根骨の骨折は、第三足根骨に比べるとまれな骨折です。 特に非競走馬ではまれな骨折ですが、これは単純X線検査でも十分に診断可能で、底外-背内方向(斜め外側から)で少しずつ角度をずらしながら撮影することで診断可能です。 // 参考文献 pubmed.ncbi…

馬の中心および第三足根骨骨折(Tulamoら 1983年)

少し古い文献にはなりますが、足根骨盤状骨折が内科療法では競走復帰が難しいことが示されています。 スタンダードブレッドとサラブレッドの競走馬11頭でみられた調教またはレース中の骨折で、長期休養のみでは運動復帰がかなわなかったと報告されています。…

足根骨骨折を保存的に管理した25例の長期成績(Murpheyら 2000年)

飛節構成骨である足根骨は、近位-遠位方向の体重による負荷を受け、盤状に骨折します。 大きな骨片は内固定術を行うことが推奨されていて、競走中により大きな負荷がかかると想定されるサラブレッドでは、保存療法では競走復帰の率が低いことが知られていま…

管骨後面の外骨症16例(Bertoniら JAVMA2012)

球節より近位の管骨後面には、ときどき外骨症という骨形成がみられることがあります。これまで私が経験した症例は、特にこれに関連した臨床症状がない、たまたまみつかった(偶発的な)所見にすぎませんでした。超音波検査を行った症例でも、明らかに繋靭帯…

スタンダードブレッドの成長板閉鎖と成績や損傷との関連(Gabelら 1977年)

成長板の閉鎖は、長骨成長の終わりを反映しています。これまでに紹介してきたとおり、その時期は部位によって異なり、サラブレッドであれば5-6歳まで成長することが知られています。 equine-reports.work 骨の成長の指標となることは分かりましたが、骨が成…

馬の部位別の成長板閉鎖時期とALP動態(Strandら 2007年)

馬の長骨の伸長をつかさどる成長板は、肢端から順番に閉鎖し成長が止まっていきます。馬において最も骨が成長する時期は生後6か月で、それ以降は徐々に成長が止まっていきます。 サラブレッド種の馬において、球節部(第一指骨と第三中手/中足骨)の成長板は…

馬の成長板軟骨におけるALPの局在(Hensonら 1995年)

骨代謝のマーカーとしてモニタリングされることの多いALP(アルカリフォスファターゼ:アルフォス)について馬での軟骨における活性動態を調べた文献があります。 はじめに 研究の目的 結果と考察 参考文献 はじめに この文献では、まず成長板に存在する軟骨…

成長期の馬の骨代謝活性(Priceら 2001年)

骨形成マーカーの例 骨吸収マーカーの例 骨代謝マーカーを用いた診断 馬における骨代謝マーカー 文献でわかったこと 所感 参考文献 ヒトでは、骨代謝マーカーが複数報告されており、骨疾患の診断にも用いられています。 骨代謝には、骨の形成にかかわるマー…

骨代謝マーカーの年齢による変化(Priceら EVJ1995年)

骨形成マーカーの例 骨吸収マーカーの例 骨代謝マーカーを用いた診断 馬における骨代謝マーカー 文献でわかったこと 所感 参考文献 ヒトでは、骨代謝マーカーが複数報告されており、骨疾患の診断にも用いられています。 骨代謝には、骨の形成にかかわるマー…

馬のALPアイソザイムと年齢、調教、病気による変化(Thorén-Tolling 1988年)

ALPには主に肝臓、腎臓、骨のアイソザイムが存在することが知られています。ルーティンな検査では総ALPのみ測定しますが、その内訳を知っておくことで馬の状態をよりよく理解できる可能性があります。 成馬では主に肝臓型のALPが血中に存在します。新生児か…

若馬の橈骨遠位骨端部のシンチグラフィ所見(Uhlhornら 2000年) 

成長板が閉鎖したあとは、軟骨内骨化が盛んだったその部位では何が行われているのでしょうか。 想定されるのは骨基質のターンオーバーですが。。。 シンチグラフィを用いて骨代謝の活性を評価してみた、という報告がなされています。X線検査で成長板閉鎖が確…

橈骨粗面の付着部損傷(Oikawaら 1998年)

馬の橈骨粗面は、橈骨背側近位に位置し、上腕二頭筋の橈骨頭が終止する部位です。 X線検査では、患肢を前に引っ張って保定し、外内方向に撮影することで評価できる像が得られます。 まれにではありますが、腱靱帯付着部にかかるテンションに耐えられず、障害…

去勢術後の合併症レビュー:現場での治療戦略(Getman 2009AAEP)

馬の去勢術は、よく行われる手術の一つですが、合併症の発生率は比較的高いです。 軽度な腫脹、漿液腫、出血などから、感染、腹膜炎、腸管脱出、陰茎損傷、陰嚢水腫といった比較的重度な合併症も発生することがあります。 馬の解剖学的な素因(腹腔内や鼠径…

ヘンダーソン式去勢術に関連した合併症の発生率(Hintonら EVJ2019年)

馬の去勢術の術式のひとつとして、ヘンダーソン式去勢術が考案・実施されています。この方法は、ヘンダーソン式去勢具に精索を挟み込み、これを電動ドリルまたは手動で回転させて捻じ切るという術式です。 ※下記リンクは実際の手術写真を含みますので閲覧に…

去勢術後の精索の感染:23症例の回顧的研究(Claffeyら VetSurg2018年)

去勢術後の合併症である精索への感染を外科的に処置した症例の報告。

去勢術後の炎症反応のモニタリング(Jacobsenら EVJ2005年)

去勢術後の炎症をモニタリングするための急性相タンパク質の変化。