フロリダの1つの育成場で、デビュー前の育成期(1歳9月から2歳5月)に発生した種子骨付着部の繫靱帯脚部付着部炎が競走成績に与える影響を調査した研究の紹介です。
要約
研究を実施した理由
若齢競走馬における繫靱帯脚付着部炎の予後に関する情報は限られている。目的
繫靱帯脚部付着部炎が競走成績に与える影響を調査すること、繫靱帯脚部付着部炎の重症度が予後に重要かどうか評価すること。研究デザイン
回顧的コホート研究方法
調教中の若齢競走馬896頭について調査し、一方の繫靱帯脚部付着部炎の症例に限定した。出走能力は彼らのコホートと比較した。競走成績は症例馬の母系兄弟と比較した。結果
症例の割合は9.5%であった。集団の出走回数は2歳時で症例馬の3.2倍、3歳時で症例馬の3.6倍であった。母系兄弟との比較は症例の58頭で可能で、総計の1走あたり賞金および2-3歳の1走あたり賞金は有意に少なかった(P<0.01)。症例馬の出走回数は平均3.8回で、対照群は平均7.4回で有意に少なく、初出走時の年齢は113.2日遅かった(P<0.01)。スピードおよび1走あたり賞金は症例と対照で差がなかった。中程度から重度(G2より悪い)の馬は、軽度の馬よりも再損傷のリスクが有意に高かった(P<0.05)。結論
繫靱帯脚部付着部炎では2歳時の競走能力は減少した。軽症例では3歳時までは対照と同等の成績を示したが、より重症の症例では3歳時に競走能力は減少し、再損傷の確率も高かった。繫靱帯脚部付着部炎の馬では損耗は大きいものの、出走できた症例では対照と同等の1走あたり賞金であった。