先日まで海外(アメリカ)の育成馬における繫靱帯脚部付着部炎についての文献を紹介しました。それでは日本国内の育成馬ではどうなのでしょうか。
JRA競走馬に関する調査研究発表会2011
https://company.jra.jp/equinst/publications/pdf/y53.pdf
にて発表された内容を紹介します。
演題番号21:サラブレッド種育成馬における繋靭帯脚炎と近位種子骨 X 線像の関連性
2006-2011年の間に繫靱帯脚炎を発症した育成馬125頭(オス88頭、メス37頭)、149か所についての回顧的調査。
前肢125か所、後肢24か所で前肢が多かったが、内側 74 箇所(前肢 60 箇所、後肢 14 箇所)、外側 75 箇所(前肢 65 箇所、後肢 10 箇所)と内外で差は認められなかった。
種子骨の病変は幅2mm以上の線状陰影が91か所、シスト状陰影が27か所、陳旧性骨折が4か所で認められた。
繫靱帯脚炎では122/149(81.9%)で種子骨の異常所見がみられた。
紹介した海外文献と比較
前肢での発症が極端に多い(83.9%:125/149)。
繫靱帯脚炎を発症した部位では高い割合で種子骨の異常所見を伴っていた。
繫靱帯損傷の程度については評価していない。