球節が顕著に腫脹し、明瞭な跛行を伴う場合には側副靭帯およびその付着部の損傷を想定する必要があります。
はじめに
球節はもともと内外側方向には強固な安定性があり、これは側副靭帯のおかげ。
側副靭帯は、球節の内側と外側を支えて、関節を安定化させている。
原因
重度な外傷や捻挫などの場合、この靭帯が損傷する場合がある。
症状
損傷した靭帯周囲の腫脹、関節液増量、跛行、関節不安定症
診断
靭帯の損傷を超音波検査で確認する。
球節の側副靭帯では、浅枝と深枝に分かれており、線維配列の向きが異なることに注意。
骨付着部では低エコーに見えることもあり、必ず対側と比較する。
第一指骨の靭帯付着部裂離骨折はX線検査で診断する。
よくみる第一指骨背側関節面の剥離骨折とは位置が異なることに注意。
骨片が離れすぎていることや、DP像で内側または外側に骨片が見える位置にあることから鑑別する。超音波検査と組み合わせることによりより正確な位置を理解できる。
関節不安定症は内反または外反ストレスX線検査で診断する。
治療
重度な内外側方向での関節不安定がある場合には休養とキャスト固定を行う。16頭中8頭がキャスト固定後に騎乗再開でき、キャスト固定の期間は平均74日であったという報告がある。
第一指骨の裂離骨折は関節面にもおよび、球節の腫脹や跛行を伴うことが多い。骨片摘出が推奨されているが、強固に付着しているため鋭性に摘出する必要があるうえ、関節のスペースが制限されていて操作が非常に難しい。よって典型的な第一指骨背側の剥離骨折と鑑別しておくことが重要である。
参考文献
Diagnosis and management of lameness in the horse 2nd edition Mike W. Ross and Sue J. Dyson © 2011 Elsevier Inc.
Adams and Stashak's Lameness in Horses 6th edition Gary M. Baxter © 2011 by John Wiley & Sons, Ltd
Atlas of Equine Ultrasonography Jessica A. Kidd, Kristina G. Lu, Michele L. Frazer © 2014 by John Wiley & Sons, Ltd