育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

種子骨体部骨折 ラグスクリューと海綿骨移植(Henningerら 1991年)

種子骨体部の骨折に対してラグスクリューで固定した25頭の症例研究です。
要約だけでは治療成績まではわかりませんが、現在でも多くの論文、教科書で引用される文献です。体部骨折の競走復帰率は高い報告でも60%とされています。

Lag Screw and Cancellous Bone Graft Fixation of Transverse Proximal Sesamoid Bone Fractures in Horses: 25 Cases (1983-1989)
R W Henninger , L R Bramlage, R K Schneider, A A Gabel
J Am Vet Med Assoc. 1991 Vol.199(5):606-12.

要約
種子骨体部の横骨折を認めた25頭の医療記録を調査し、治療が成功したか調査した。骨片が摘出できないほど大きく、繫靱帯支持装置を再建する必要があると判断されたため、すべての症例はラグスクリュー固定と自家海綿骨移植を受けていた。

X線検査は全頭で行っており、以下の3タイプに骨折を分類した。
1.近位の骨体中央部骨折で、大きさは1/3以上1/2未満
2.ちょうど骨体中央部で均等に1/2ずつに割れている
3.遠位の骨体中央部骨折で、大きさは1/3以上1/2未満

競走成績はスタンダードブレッド9頭、サラブレッド5頭で得られた。
術後の成績は、調教復帰して1走以上したか、レースのクラスは術前のものを維持できたか、1走あたり賞金、出走回数で評価した。
サラブレッドでは右前肢に最も多く骨折がみられ、スタンダードブレッドでは左後肢が最も多かった。
どちらの種でも体中央部(2)の骨折が最も多く、種による発生の違いはなかった。

 

要約では残念ながらここまでしか読めませんでしたが、ラグスクリューによる内固定をこの頭数でまとめた報告はこれがはじめてでした。