実験的に作った内側種子骨体中央部の横骨折に対してスクリュー固定とワイヤー固定を行い、それがどれだけの負荷に耐えられるのか機械的な負荷をかけて検証した研究です。
どちらも耐えられる負荷に有意な差はなく、常歩時にかかる負荷には耐えられる強度が得られました。ではなぜここまで治療成績に差が出てしまうのでしょうか?
In Vitro Biomechanical Properties of 2 Compression Fixation Methods for Midbody Proximal Sesamoid Bone Fractures in Horses
J B Woodie , A J Ruggles, A S Litsky
Vet Surg. Vol.29(4):358-63.
目的
種子骨体中央部骨折の2つの整復手技(ラグスクリュー固定とワイヤー固定)を、単調な負荷により受ける力および周囲軟部組織の緊張で比較して評価すること。研究デザイン
実験的研究材料
調教を受けた馬の解剖体から得た10組の前肢。方法
内側種子骨の体中央部を横断するように骨切りを行った。整復には4.5mm皮質骨スクリューおよび1.25mmワイヤーを用いた。肢を機械にセットし、繫靱帯と種子骨遠位靱帯にトランスデューサーを設置した。肢に単回の軸側方向の圧迫力を繰り返しかけ、破綻するまで行った。結果
皮質骨スクリューによる整復では、肢には平均で2908.2Nの負荷がかかった。1肢のみ5000N(ニュートン)の負荷まで破綻することなく耐えた。ワイヤー固定では平均で3406.3Nの負荷がかかった。2つの方法で平均の負荷に有意差は認められなかった。また、周囲軟部組織にかかった緊張の最大値にも有意差は認められなかった。結論
全ての整復した肢は、常歩時に生体内で繫靱帯支持装置にかかる負荷と同等の負荷には耐えることができた。臨床的関連性
どちらの整復手技でも、種子骨体中央部骨折の術後すぐにかかる負荷に耐える強度を得ることができる。