育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

種子骨体部骨折 プレート固定(da Silveiraら 2014年)

解剖体を用いた種子骨体中央部骨折モデルに対して、従来のラグスクリュー法と2穴LCPプレートによる固定を比較しました。耐えられる負荷はプレートの方が大きかったことから、より良い治療オプションとなる可能性がありますが、近位側の骨片が粉砕してしまうことが多かったです。


Biomechanical testing of a hybrid locking plate fixation of equine sesamoid osteotomies
E. Almeida da Silveira, A. Levasseur, M. Lacourt, Y. Elce, Y. Petit
Vet Comp Orthop Traumatol 2014 Vol.27(02): 107-112

目的
 種子骨体部横骨折に対してハイブリッドロッキングコンプレッションプレート(LCP)とコンプレッションスクリューを用いて整復したときの生体力学的特性を比較すること。

方法
 解剖体より10対の前肢を採取した。それぞれの内側種子骨に体部横骨折モデルを作成し、ランダムに2穴の3.5mmLCPもしくは4.5mm皮質骨スクリューによる整復を行った。それぞれに軸側方向の負荷を破綻するまで単回サイクルの試験を行い、生体力学的な検証を行った。破綻は負荷変形曲線から評価した。破綻の様子を確定するため、全体的な評価およびX線検査を行った。

結果
 ハイブリッドLCPによる固定では4968±2167N、スクリュー固定では3009±1091Nと、破綻するまでの負荷は有意に異なっていた。最もよく見られた破綻の様子は種子骨尖部の粉砕骨折であった。

臨床的意義
 LCPによる整復は種子骨体中央部の骨折の安定性および治癒を改善できる可能性がある。種子骨体中央部骨折の治療オプションとして確証を得るには、特に耐疲労性に関してのさらなる検証が必要である。