1歳セリのレポジトリーにおける内視鏡検査はどのように評価すべきでしょうか。最も多くみられる喉頭の異常所見はやはり左喉頭片麻痺(反回喉頭神経症)だと思います。重症度の分類は、披裂軟骨の動きの完全性、対称性、同調性を評価します。それ以外にもマイナーな所見はさまざまに認められ、以前紹介した披裂軟骨粘膜損傷もその一つです。
今回紹介する文献は、アメリカの主要なセリであるキーンランド1歳セリに1996年に上場された馬の上気道内視鏡検査所見と、その後の競走成績との相関を調査した報告です。少し古いので披裂軟骨の動きのグレード分類は細分化される以前のものですが、大筋は現在のものと同様です。4段階のグレード分類を行い、披裂軟骨外転がG1-2の馬は、G3の馬と比較して競走成績が優れていたことが明らかにされています。
レポジトリ検査の内視鏡では、やはり披裂軟骨の動きを評価・分類することで有用な情報が得られます。
参考文献
目的
1歳サラブレッド種馬における上気道の内視鏡検査所見とその後の競走成績を比較し、主観的な気道機能評価が、将来の競走成績を予測できるか検討すること。デザイン
回顧的研究動物
427頭のサラブレッド1歳馬方法
1996年のキーンランドセプテンバーセールにおける1歳馬の内視鏡検査記録を調査した。競走成績は、4歳の終わりまで(1997-2000年)の期間を調査した。29の競走パフォーマンスの評価と内視鏡検査所見に相関を認めた。披裂軟骨の動きは主観的に4段階で分類した(G1:対称で同調する~G4:披裂軟骨は動かない)。結果
本研究では427頭を組み入れ、364頭は競走成績が得られたが、63頭は競走成績がなかった。購買に適していること、セリの条件に合致していること、喉頭蓋の異常所見は全て競走成績との相関は認められなかった。披裂軟骨の動きのグレードは多くの独立変数と有意な相関があった。しかし、軟口蓋の異常所見があるからといって競走成績が悪いわけではなかった。結論と臨床的関連性
1歳時の披裂軟骨の動きがG1または2であった馬は、G3の馬と比較してその後の競走成績は優れていた。対照的に、喉頭蓋や軟口蓋の異常所見があっても競走成績が劣ることを予期させるわけではなかった。したがって、喉頭機能の評価は、喉頭蓋や軟口蓋の異常所見ではなく、披裂軟骨の動きを4段階でグレード分類で評価することが、購買者へ勧める主要な要素となる。