育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

反回喉頭神経症の進行がみられた152例(Dixonら 2002年)

反回喉頭神経症、いわゆる喉頭片麻痺や喉鳴りが進行性の病態であるということを、安静時内視鏡検査および臨床所見(異常呼吸音やパフォーマンス)を経時的に調査して確かめた文献を紹介します。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

”要約
反回喉頭神経症に罹患した351頭について、この病態の進行を調査するために長期の経過と臨床所見を調査した。52頭(15%)で喉頭機能不全のグレードに進行が見られた。発症年齢の中央値は7歳で、進行がみられた期間の中央値は12ヵ月(範囲は1.5-48ヵ月)であった。30頭で内視鏡検査(中央値でGが3段階悪化、範囲1-5)と臨床症状に進行所見がみられ、うち29頭(97%)では運動時の異常呼吸音が急に聞かれるようになり、また13頭(43%)で運動時のパフォーマンス低下が見られた。残りの22頭のうち、16頭(73%)で運動時の異常呼吸音が急に聞かれるようになり、さらに6頭は音がひどくなった。またパフォーマンスの低下は13頭(59%)でみられた。内視鏡検査では、22頭中13頭(59%)で顕著な反回喉頭神経症を認めたが、検査以前のパフォーマンスと一致するものではなかった。本研究で反回喉頭神経症の進行所見が得られたことは、セリ時で正常に見えた馬でも後に反回喉頭神経症を発症することに関する議論や、それほど深刻でない反回喉頭神経症でも手術することにおいて有意義な発見であった。”