運動時の内視鏡検査には、トレッドミル上で行う内視鏡検査と、騎乗して行うオーバーグラウンド内視鏡検査があります。それぞれに利点があり、前者には走行スピードや距離をコントロールし再現性が高い点、後者には実際の調教や競争に近い条件での運動を再現することができる点があります。では実際の検査結果にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は英国の競走馬における、オーバーグラウンドおよびトレッドミル内視鏡検査の比較を行った文献を紹介します。
”研究を実施した理由
近年記録されてきた騎乗運動時に行う内視鏡検査と従来の高速トレッドミル運動時の内視鏡検査を比較した情報はこれまでにない。目的
英国の競走馬における上部気道内視鏡検査を、騎乗運動時に行った場合とトレッドミル上で行った場合の結果を比較すること。方法
10日以内にトレッドミルとオーバーグラウンドの内視鏡検査を行った4頭について、結果を直接比較した。また、直接の比較ではないが、50頭のオーバーグラウンド内視鏡検査の結果と異なる50頭のトレッドミル内視鏡検査の比較を行った。これらの馬は、年齢、性別、用途(平地または障害競走)および症状(異常呼吸音またはプアパフォーマンス)がマッチする馬とした。結果
軟口蓋背側変位は、オーバーグラウンドよりもトレッドミル内視鏡検査で多く診断された。動的な喉頭虚脱の診断には差がなかった。トレッドミル内視鏡検査は、オーバーグラウンド内視鏡検査よりも長い距離を走行し、傾斜もついていたが、走行速度は低かった。トレッドミル内視鏡検査とは対照的に、オーバーグラウンド内視鏡検査は検査間にインターバルが多くとられていた。結論
直接および関節的な比較の結果より、オーバーグラウンド内視鏡検査ではトレッドミル内視鏡検査よりも軟口蓋背側変位が診断されることは少なかった。複数のインターバルを要したオーバーグラウンドよりも、高強度の運動はトレッドミル内視鏡検査で容易に行うことができる。潜在的関連性
どちらの手技でもネガティブな所見を解釈するときには注意をしなければならない。特に競走時の条件が適切に再現できていないときのオーバーグラウンド内視鏡検査では注意が必要である。”