第一指(趾)骨の骨折は、競走馬に多くみられます。関節面から矢状方向に伸びる骨折が多くみられますが、他の形状の骨折も認められることがあります。今回紹介するのは、骨折の形状を分類し、競走復帰やパフォーマンスへの影響について調べた少し古い文献です。
”回顧的な調査を行い、近位の骨片骨折を除いた非粉砕骨折の69頭の症例の記録を集めた。うち49頭は競走中もしくは追切での骨折であった。全ての症例でX線検査が行われ、骨折の形状から6つに分類した。
・中央部の短い矢状不完全骨折、長い矢状不完全骨折、矢状完全骨折
・背側前面の骨折
・遠位関節面の骨折
・底側突起の骨折
・骨幹部骨折
・斜骨折4頭は治療する前に諦められた。65頭は治療を行い、63頭が退院した。退院した後の長期追跡調査では、4頭が跛行が持続したことにより安楽死となった。残りの59頭のうち、34頭は競走復帰、7頭は馬術競技やプレジャーホース、8頭は繁殖入り、10頭は追跡調査ができなかった。
スタンダードブレッドの方が、サラブレッドよりも多く競走復帰した。スタンダードブレッド競走馬は、30頭のうち23頭(76.7%)が競走復帰した。8頭は骨折前と同等のパフォーマンス、11頭はパフォーマンスが低下、4頭は不明であった。スタンダードブレッド競走馬の骨折タイプ別の競走復帰率は、骨幹部骨折(2/2)、長い矢状不完全骨折(4/4)、完全骨折(11/16)、短い矢状不完全骨折(4/7)、遠位関節面の骨折(1/2)、底側突起の骨折(1/2)であった。
サラブレッド競走馬は、21頭のうち11頭(52.4%)が競走復帰した。7頭は骨折前と同等のパフォーマンス、4頭はパフォーマンスが低下した。”