披裂軟骨切除の術式のパターンとして、披裂軟骨を部分的に切除したあとに粘膜を縫合しない方法も考案されています。
”目的
サラブレッド競走馬の喉頭片麻痺、披裂軟骨炎、喉頭形成術の不具合に対する治療として粘膜を閉鎖しない部分的披裂軟骨切除を行った場合の、競走パフォーマンスへの影響と長期的な合併症を評価すること。研究デザイン
回顧的研究動物
27頭のサラブレッド競走馬方法
1992-2002年の間に、粘膜縫合をしない披裂軟骨部分切除を行ったサラブレッド競走馬の医療記録を調査した。対象馬をグループ分けし、手術前に出走していなかった馬をグループ1、出走前に出走していた馬をグループ2とした。生涯競走成績をグループ間で比較した。どちらのグループについても、スタンダードスタートインデックスSSIとパフォーマンスインデックスPIを用いて、術後のパフォーマンスを客観的に評価した。馬主および調教師に対する聞き取り調査で、主観的なパフォーマンス評価および長期的な合併症の発生率を調べた。結果
グループ1の11頭(61%)、グループ2の7頭(78%)が術後に出走し賞金を獲得した。グループ1で出走できた馬は全て全国平均よりも低い競走パフォーマンスであった。術後にPIスコアが改善したのはグループ2の1頭のみであった。結論
サラブレッド競走馬では粘膜縫合をしない披裂軟骨部分切除を行ったあとに良好な競走成績を得られる予後は五分である。臨床的関連性
本文献の術式は、粘膜縫合する術式を臨床的に代替できる方法となり得るし、手術時間の短縮と合併症を回避できるかもしれない。”