育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

立位鎮静下でのシールド付きフック型メスによる喉頭蓋エントラップメント治療(Lacourtら 2011年)

文献のハイライト

立位鎮静下で経鼻粘膜切開を行う際、より安全に行うためにシールド付きフック型メスを用いた手術報告。

喉頭にメスが到達したらシールドからメスを突出させて、粘膜切開を行いました。この手技を完了するまでにかかった時間は平均83秒でした。

 

AAEPで発表された際の資料はこちら

https://aaep.org/sites/default/files/issues/proceedings-09proceedings-z9100109000368.pdf

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

”要約
目的
 立位鎮静下の馬における、喉頭エントラップメント治療のために開発したシールド付きフック型メスの使用を報告すること。

研究デザイン
 前向き臨床研究

動物
 スタンダードブレッド種馬8頭、年齢は3-19歳

方法
 立位鎮静下の馬において、経鼻でシールド付きフック型メスを用いた喉頭エントラップメントの矯正を行った。馬主、調教師およびかかりつけの獣医への電話聞き取りで成績を調査した。

結果
 すべての馬で喉頭エントラップメントの軸側切開は成功した。短期および長期的な合併症は認められなかった。エントラップメントの切開は迅速に可能で、喉頭にメスが達してから粘膜を切開するまで平均83秒であった。

結論
 経鼻でのシールド付きフック型メスによる披裂喉頭蓋ヒダの切開は安全に実施可能である。シールド付きにすることで、周囲組織が傷つくリスクを最小限にすることができる。”