文献のハイライト
内視鏡下でレーザーによる粘膜切開を行った症例と、対照群の成績を比較。さらに形態的特徴と成績の関連を検討した。
症例群の成績は術前で明らかに悪かったが、手術から4半期経つと対照群と差がないパフォーマンスに復帰できた。
エントラップメントの粘膜切開だけでなく、余った粘膜を切除した症例では術後の出走回数が少なくなった。
”要約
目的
喉頭蓋エントラップメントの内視鏡下レーザー手術の成績を評価すること、術後の形態的特徴が成績に与える影響を明らかにすること。研究デザイン
回顧的コホート研究動物
サラブレッド競走馬で内視鏡下でレーザー手術を行った66頭と治療していない集団132頭。方法
内視鏡下でのレーザー手術を行った66頭の医療記録、術中記録、競走成績を調査し、症例馬が術前に最後に走ったレースの馬からランダムに選択した治療していない馬と比較した。術後のデータは、術後各4半期での出走回数および勝利数を比較した。結果
治療した馬は、非治療馬と比較して術前のパフォーマンスは有意に劣っていた(P=0.002)。術後すぐの4半期は治療馬ほうが出走回数(P<0.001)および獲得賞金(P<0.001)は劣っていたが、その後の4半期ごとの比較では治療馬と非治療馬に差はなかった。検討した条件のうち、喉頭蓋下粘膜の切除は唯一予後に関係する要素で、これを行った馬は出走回数は少なかった(P<0.001)が、獲得賞金に有意差はなかった。結論
内視鏡下での喉頭蓋エントラップメントのレーザー手術を行った馬は、術後2つ目の4半期からは非治療馬の集団とパフォーマンスに遜色なく復帰できた。エントラップメントで粘膜切除も必要だった馬は術後の出走回数が少なかった。臨床的意義
術後最初の4半期を除き、治療馬は非治療馬と同等のパフォーマンスが可能であった。エントラップメントの粘膜を切除する必要があった馬は例外であった。”