”要約
研究を実施した理由
後肢における深屈腱支持靭帯炎は、馬の跛行原因としてはまれであり、これについての報告はほとんどない。
目的
後肢の深屈腱支持靭帯炎の馬23頭についての臨床所見、超音波検査所見、治療および成績を記述すること。
方法
3つの医療機関における片側または両側の後肢深屈腱支持靭帯炎の超音波所見があった23頭の記録を回顧的に調査した。年齢、血統、性別、臨床症状の期間や性質、臨床検査および跛行診断、治療および成績について記録した。
結果
グループAは片側の急性発症の跛行13頭、グループBは気づかないうち、もしくは急に肢勢の異常がみられた10頭であった。品種は小型種10頭、ブリティッシュポニー5頭、様々な大型種8頭が含まれた。20頭は一般乗用に使われていて、平均年齢は12歳であった。全頭で患肢の支持靭帯には腫大が認められた。症例の44%で支持靭帯に部分的な異常が超音波検査で診断できた。治療は舎飼い休養と制限した運動を行った。10頭は支持靭帯の切断もしくは切除術を行った。グループAのうち73%は完全な運動に復帰したが、グループBは90%で跛行が残った。
結論
後肢の支持靭帯炎には2つの異なる臨床症状があった。外傷による急性発症の跛行では予後は良く、ほとんどの馬がもとの運動に復帰できる。しかし、肢勢が変わってしまっていてもとに戻らない場合には予後不良である。
潜在的関連性
支持靭帯炎は後肢跛行の潜在的原因として認識しておくべきで、本研究からその臨床症状や予後の情報が提示された。球節のナックリングや少し屈曲した肢勢を伴っていることがある。したがって、球節の屈曲異常を認める症例では、支持靭帯炎が原発であることを考えるべきである。”