アイスランドホースの変形性関節症はいつごろから見られるのか。
変形性関節症は、その名の通り、加齢や運動負荷の影響が蓄積されて発症するはずですが・・・
“要約
研究を実施した理由
遠位足根関節の骨関節炎、Spavin(飛節内腫)は、6-12歳齢のアイスランドホースによくみられる疾患として知られている。
目的
若いアイスランドホースの中心遠位関節において、初期のX線および組織学的変化がみられる性質、部位、年齢を明らかにすること。
方法
若いアイスランドホースの中心遠位関節を盤状に分け、6ヵ月-6歳齢の馬111頭について高分解能のX線画像で、6ヵ月から4歳齢の馬82頭に対して組織学的検査で、骨関節炎を示唆する初期変化を検出した。5歳齢未満の馬は騎乗開始前であった。
結果
組織学的検査において、骨関節炎の初期病変と同様な軟骨壊死は33%の関節でみられ、内外どちらにも位置していた。X線画像で軟骨下骨の硬化は60%で認められ、内側で最も多かった。内側の所見は軟骨壊死との相関はなかったが、年齢との強い相関を認めた。骨硬化は外側で多い所見ではなく、おそらく軟骨壊死から二次的に起こっていた。骨関節炎に最も特異的と思われたX線所見は軟骨下骨の小さな欠損で、これが軟骨壊死と強い相関があった。
結論
若い馬で軟骨壊死の所見率が高かったことは、この疾患が早期に始まり、ゆっくり進行することを示唆している。また、若齢でみられることは、騎乗することに関連しないことを示している。遠位足根関節の骨関節炎が臨床症状を示すのは成馬や老齢馬が多いことから、初期の段階では症状を示さないようだ。中心遠位関節の骨関節炎発症において、軟骨下骨の硬化は手要因ではないようだが、これは関節内の生体力学的な力のかかり方の不均等を表していると考えらえる。
潜在的関連性
若いアイスランドホースの中心遠位関節の骨関節炎発症には、外力や過剰な負荷よりもむしろ、コンフォメーションや関節の構造的な不良が関わっているようだ。他の血統の馬でも、遠位足根関節の骨関節炎にはこのような病態因子が重要な働きをしている可能性がある。後肢のコンフォメーションや遠位足根関節の構造が、関節に与える生体力学的な影響は調査すべきで、若馬を用いた運動解析が望ましい。”