育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

足根関節骨関節炎と足根骨形状の関係(Sparkmanら 2015年)

足根関節によくみられる骨関節炎には足根骨の形状が関わっているのか。

 

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

“飛節のほとんど動かない関節の骨関節炎は、広く飛節内腫Bone Spavinと呼ばれ、馬において一般的にみられる。この症状の病因は複数あるが、中心足根骨と第三足根骨の背側が楔状になっていると発症しやすいことが示唆されてきた。この研究の目的は、足根骨のコンフォメーションと近位足根間関節、遠位足根間関節および足根中足関節の骨関節炎との関係を調査することである。中心および第三足根骨の楔形状は骨関節炎と相関するという仮説を立てた。解剖体を用いて3つの傍矢状断面からCTにより複数の画像から再構築し、中心および第三足根骨の背側面と底側面の高さを計測した。背側と底側の計測値の割合から、どれだけ楔状かの指標とした。CT像からすべての足根骨について骨関節炎のグレード分類を行った。中心足根骨の楔形状と、遠位足根間関節(ρ = -0.45, P <0.01)、足根中足関節 (ρ = -0.49, P <0.01)、近位足根間関節(ρ = -0.43, P <0.01)の間に中程度の負の相関を認めた。第三足根骨背側の楔形状は、軽度および中程度の骨関節炎でみられたが、重度の骨関節炎では底側の楔形状と相関があった。本研究から、足根骨の楔形状は関連する関節の骨関節炎と関連していて、したがって子馬において楔状の形状にならないように注意を払うべきである。”