育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

遠位足根関節骨関節炎の外科的関節固定 臨床例17頭(Adkinら 2001年)

遠位足根関節の外科的な関節固定による治療成績。

17頭の臨床例について関節を貫くドリリング法

 

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

“要約

目的

 骨関節炎に起因する跛行の治療のために、足根中足関節および遠位足根関節の外科的な関節固定を実施した17頭の成績を評価すること。

 

デザイン

 オーナーのいる症例を用いた回顧的臨床研究

 

方法

 遠位足根関節に対する関節内麻酔または関節内コルチコステロイド投与により跛行が解消したことで骨関節炎による後肢跛行と診断した。関節固定を刺激するため、27の飛節に対して足根中足関節から遠位足根間関節を貫くように、3cmの長さの3.2mmのドリル穴を3つ空けた。手術の成績は、術後検査、電話による聞き取り調査、競走成績の調査によって評価した。

 

結果

 臨床検査および電話聞き取りの結果から、71%の馬で手術はうまくいった。このうち6頭は片側、6頭は両側に手術を行った。これは、片側の手術を行ったうちの85%(6/7)、両側の手術を行ったうちの60%(6/10)であった。スタンダードブレッド競走馬では全頭(8/8)、サラブレッド競走馬では67%(4/6)で成功した。競走復帰までの平均期間は9.5ヵ月であった。

 

結論

 本研究で用いた手術手技は、遠位足根間関節の骨関節炎による跛行を解消することができ、その成功率はこれまでの方法と同等であった。これまでの手技はより侵襲が大きく、問題がおきやすかった。”