腕節と同様に、飛節でも運動を継続することで足根骨に持続的な負荷がかかり、蓄積された小さな骨障害が骨関節炎へと進行していくと考えられています。
今回は、足根骨に対してトレッドミルによる軽い運動が与える影響を、MRI画像を用いて調査した文献を紹介します。
“要約
調教によって腕節の軟骨下骨の顕著なモデリングが引き起こされるが、遠位足根関節の軟骨下骨への調教の影響は分かっていない。
本研究の目的は、サラブレッドにおいて、中心および第三足根骨のモデリングに調教が関わっているか明らかにすることである。
12頭のサラブレッドを2群に分類した。グループ1は高速トレッドミル運動を連続で19週行い、グループ2は1日40分の常歩運動を行った。運動プログラム後に左飛節について、0.5テスラ、超電導磁石を用いたスピンエコーシークエンスのMRI画像を得た。矢状および斜矢状断面は、足根間関節の関節面に垂直になるように設定し、解析ソフトを用いてそれぞれの骨の背側面での密な軟骨下骨の割合を測定した。
グループ1の中心足根骨背側面の密な軟骨下骨の割合は平均(%)で、内側47±8、矢状46±4、背外側50±11であった。一方でグループ2では、内側39±16、矢状43±8、背外側53±7であった。第三足根骨については、グループ1では内側32±10、矢状39±11、背外側44±8であったのに対し、グループ2では内側28±8、矢状37±6、背外側41±9であった。
トレーニングした馬としていない馬で、密な軟骨下骨の割合に有意な差は認められなかった。サラブレッドにおいて、トレッドミル調教による中心および第三足根骨のモデリングへの影響は示されなかった。”