育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

上腕骨骨折の外科・非外科治療の比較(Zamosら 1992年)

上腕骨骨折は、体重が軽い若馬で骨片に変位がなく非外科的な治療を選択できる症例であれば運動復帰できる可能性が残される。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

“要約

上腕骨骨折を認めた22例の医療記録を回顧的に調査した。年齢は2-144ヵ月齢(平均25.8±37.3ヵ月)であった。10頭は馬房内休養、3頭は外科手術、9頭は診断時に安楽殺処置がなされた。非外科療法(馬房内休養)を行った10頭中7頭が、5-12ヵ月(平均7.5±2.6ヵ月)で騎乗再開できた。非外科療法をおこなったうち1頭は診断から6か月後に対側肢の蹄葉炎により安楽殺処置がなされた。残りの2頭は追跡調査ができなかった。外科手術を行った3頭のうち1頭は10ヵ月後に問題なく放牧できたが、術後6ヵ月で対側肢の腕節内反がみられた。1頭は術後2週間でインプラントが破綻したため安楽殺処置がなされた。残りの1頭は術後10か月で問題なく騎乗できた。これらの結果から、若齢で非外科的に治療できた上腕骨骨折は、問題なく騎乗できるようになる可能性がある。”