さまざまな骨折の病態に関する研究を行っているStover先生の原著で疲労骨折と完全骨折の相関を調べた文献です。
文献のハイライト
完全骨折した上腕骨を調査したところ、骨折線をまたぐような仮骨形成が10/13(76.9%)に認められたことから、疲労骨折から完全骨折に移行したと推察されています。
この文献でもやはり出走歴のない若馬が調教中に発症するケースが多いという点が興味深いです。
“要約
1990年2月24日から1991年7月10日までの期間で、調教または競走中に21頭の競走馬が片側の上腕骨完全骨折を発症した。患肢は左右で差はなく、雌雄の差もなかった。ほとんどの骨折は調教中に発生し、2歳または3歳齢であった。過去に少なくとも1回出走していたことが分かっていた馬は16頭中5頭で、それらのレース間隔は最後のレースから骨折までの時間よりも短かった(P=0.07)。詳しく調査できた13頭の上腕骨のうち、10頭で骨折線の一部をまたぐ仮骨形成が明らかで、これは疲労骨折が既に存在していたことを示唆している。”