育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

若いトロッター競走馬におけるカラードップラー心エコーを用いた弁逆流症の評価(Buhlら 2005年)

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

“要約

目的

 2-3.5歳のスタンダードブレッドトロッターにおける、弁逆流症の発生頻度および進行と、その競走パフォーマンスに与える影響を評価すること

 

デザイン

 長期的観察研究

 

動物

 103頭の馬

 

方法

 6ヵ月間隔で4回の心エコー検査を行った。BモードおよびMモード心エコーを行い、カラードップラーを用いて、それぞれの弁の逆流血流を評価した。

 

結果

 全ての弁において、逆流症の所見率は18か月の調査期間中に増加した。検出された逆流症はどれも軽度で、重症度の増悪は認められなかった。三尖弁逆流症は定期的に出走している馬で多くみられ、オスに多く、左心室重量および拡張期左心室内径が大きい馬で多く診断された。競走パフォーマンスと弁逆流症のあいだに相関は認められなかった。

 

結論と臨床的関連性

 調査期間中に弁逆流症の所見率は増加し、3.5歳齢ではよくみられる所見であった。成熟によるものか調教によるものかは断定できない。本調査によれば、これくらいの年齢では軽度な弁逆流症の高い所見率があったが、競走パフォーマンスへの影響はないようだった。逆流がここから悪化するのか、将来的にパフォーマンスに影響するのかはわからない。”