過去にAAEP(アメリカ馬臨床協会)の会員を対象とした聞き取り調査では、去勢術後には、浮腫や腫脹、感染、発熱および過剰な出血といったさまざまな合併症がみられたとの回答がありました。
軽度な浮腫や腫脹はほとんどの症例でみられますが、過剰な出血や、感染兆候を示す発熱が見られる場合には注意が必要です。
A survey of equine castration complications
Journal of Equine Veterinary Science
Volume 15, Issue 12, December 1995, Pages 522-526
要約
米国におけるAAEP会員のリストから、1000名の会員をランダムに選択し、 馬の去勢に関する聞き取り調査の手紙を送付した。質問の項目は、年間の去勢件数、手技と器具、麻酔プロトコル、手術手技、術後治療、合併症についてであった。総じて615件の回答があった。結果は、560名が過去12か月に1件以上去勢術を行っていた。年間の件数は1-1024件で、合計23229件が行われていた。去勢を行った主な理由は行動変化で、去勢術を推奨した年齢は3ヵ月から2歳齢であった。最も多く用いられていた器具はWhite's改良型挫滅鋏*1であった。合併症は、浮腫や腫脹が最も多く、次いで感染、発熱、過剰な出血も報告された。これは記述されていただけで、本研究は回顧的調査という性質上、因果関係はわからない。しかしながら、本調査の結果をもとに、馬の去勢術のプロトコルや手技と、それによってもたらされる合併症との因果関係の調査を計画することができる。