橈骨掌側(尾側)の骨軟骨腫とは
橈骨掌側に形成される骨軟骨腫は、成長板付近の骨軟骨を原因とする外骨症や良性腫瘍と呼ばれることもありますが、明確な定義はありません。
骨軟骨腫の形状は様々で、トゲ状のものからドーム状のものまでさまざまです。これが前腕尾側を走行する屈筋腱に当たって擦れることが障害の原因となります。
腱鞘内で擦れて炎症が起きた場合は出血と腱鞘液の増加を呈し、手根管症候群の原因となります。腱鞘の腫脹、様々な程度の跛行、患肢の屈曲痛を呈すことがあります。
文献でわかったこと
橈骨遠位外側から腱鞘鏡を挿入することにより、腱鞘内の主要な構造物はかんさつすることができた。範囲は非常に広く、深指屈筋腱の橈骨頭、浅指屈筋腱の支持靭帯、橈骨の遠位骨端、浅屈腱および深屈腱、副手根骨、橈骨手根関節、手根中央関節、深屈腱腱部のヒモまで評価できた。
参考文献
目的
外側アプローチで腱鞘鏡を手根管腱鞘内に挿入したときに観察できる解剖について記述すること。
研究デザイン
腱鞘鏡により観察した腱鞘を、解剖することで確認した。
動物と検体
12頭の馬の解剖体の前肢
方法
腕節を軽く曲げた状態で、外側面を上にして保定した。手根管を膨満させて、橈骨の遠位骨端から約3㎝近位部、2.5cm尾側で、尺側に小切開を加え、外側尺骨筋(尺側手根伸筋)と外側指伸筋の間にカメラのポートを作成した。
結果
外側アプローチの腱鞘鏡は、全ての腱鞘内構造を観察するのに十分であった。この手技で近位から遠位まで観察すると、深指屈筋腱の橈骨頭、浅指屈筋腱の支持靭帯、橈骨の遠位骨端、浅屈腱および深屈腱、副手根骨、橈骨手根関節、手根中央関節、深屈腱腱部のヒモまで評価できた。
結論
外側からの腱鞘鏡アプローチにより、簡便で再現性のある手根管腱鞘鏡が行え、深指屈腱および浅指屈腱の内側境界部を除き、腱鞘内のすべての構造物を観察できた。
臨床的関連性
手根管腱鞘に外側から腱鞘鏡を挿入することにより、診断、感染性腱鞘炎のときの洗浄や切除、腱炎や屈曲異常のときの浅屈腱支持靭帯の切断術、橈骨遠位骨幹端の骨軟骨腫切除などの手術が可能となる。