育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

局所麻酔薬の作用時間の比較

馬で用いられる局所麻酔薬は数種類あり、それぞれの作用時間が明らかにされています。

診断麻酔は、神経伝達路を遮断(ブロック)する手技です。これに用いる場合の局所麻酔薬は、ある程度すぐ効果が出て、早く効果が消失する特性を持ちます。

 

一方で皮膚縫合や外科手術で用いるような局所麻酔や神経ブロックは、作用時間が長い方が不動化や周術期の疼痛管理という点では有利です。近年では周術期の疼痛管理のため、局所麻酔薬を徐放的に作用させることで鎮痛時間を延長させる試みもあります。

equine-reports.work

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よく使う局所麻酔薬

local anesthesia

よく使う局所麻酔薬

 

診断麻酔で広く使用されている薬剤はメピバカインやリドカインです。作用発現が速く、持続時間も2-3時間程度で、遠位から順番に時間をおいて投与するのに最適です。

診断麻酔は、神経伝達路を一時的に遮断する神経ブロックや、関節や腱鞘などの滑液嚢内ブロック、繋靭帯近位付着部への局所浸潤などがあります。これらの作用発現のタイミングや持続時間を念頭に置いて、診断麻酔の結果を解釈します。

 

参考文献

新獣医薬理学 第三版 伊藤勝昭ら 近代出版 2010

 

Equine Anesthesia 第2版 William W. Muir and John A.E. Hubbell Elsevier 2008