育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

若馬の橈骨遠位骨端部のシンチグラフィ所見(Uhlhornら 2000年) 

成長板が閉鎖したあとは、軟骨内骨化が盛んだったその部位では何が行われているのでしょうか。

想定されるのは骨基質のターンオーバーですが。。。

 

シンチグラフィを用いて骨代謝の活性を評価してみた、という報告がなされています。X線検査で成長板閉鎖が確認出来たら骨代謝活性も下がっていた、というある意味当たり前な結果が報告されています。一方で、その後数か月の範囲では骨代謝活性はまだわずかに高く維持されているということも併せて書かれていますが、病的な状態と混同するほどではないと結ばれています。骨端炎は症状がわかりやすいですし、わざわざシンチグラフィで診断するともないのでしょう。

 
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

14頭のスタンダードブレッドトロッターにおいて、橈骨遠位骨端部の活性を長期的に調査した。シンチグラフィとX線検査を用いて、成長板閉鎖の時期について、定量し可視化して評価した。

はじめは99mTc-HDPの取り込みが強かったが、平均20カ月齢の時点で急激な活性の減少が始まった。 遠位骨幹部に対する成長板のROIやプロファイル比は、24-32カ月齢の成長板閉鎖時では成馬と比較して2.8から1.4まで減少していた。この比は平均42カ月齢となる調査終了時までに徐々に減少した。調査を通して、見て識別できる橈骨遠位骨端の活性は頻度が低下していった。

本研究から、正常なスタンダードブレッドトロッターにおいて、X線における成長板閉鎖後もわずかな取り込み増加があることが示唆された。この取り込み増加は骨端や腕節領域の病的な状態の評価と混同するようなものではなかった。