育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

馬の中心および第三足根骨骨折(Tulamoら 1983年)

 少し古い文献にはなりますが、足根骨盤状骨折が内科療法では競走復帰が難しいことが示されています。

スタンダードブレッドとサラブレッドの競走馬11頭でみられた調教またはレース中の骨折で、長期休養のみでは運動復帰がかなわなかったと報告されています。古い文献で、スクリュー固定した症例は1頭だけでしたが、この馬のみ競走復帰が可能でした。

 

参考文献 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 中心および第三足根骨の盤状骨折を発症した11頭の馬について、症例の履歴や追跡調査の情報を調査した。発見が難しいとされる診断、効果的でないとされる治療、競走復帰が難しいとされる予後に関する情報を集めた。本研究の目的は、手術しなかった馬で得られた結果を集積し、外科的な治療が推奨されたのか明らかにすることであった。症例は9頭がスタンダードブレッド、2頭がサラブレッドの競走馬、年齢は全て2-4歳で、発症時は全て競走と同じ速度での運動をしていた。診断は紹介先の病院での検査で判明していて、発症からある程度時間が経っていた。中心足根骨の骨折では下腿足根関節の腫脹が現れた。なかには、診断麻酔や複数方向のX線検査が必要な症例もあった。全ての骨折の面がX線検査で明らかにできたわけではなかった。歩様の回復には長期休養では効果がなかった。ラグスクリュー固定を行った症例は1頭だけで、この馬のみ骨折後に競走復帰できた。