育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

楔状の第三足根骨は盤状骨折発症と関連する(Bairdら 2001年)

 第三足根骨の盤状骨折は、主に競走馬にみられる骨折のタイプです。

この骨折には、なりやすい骨の形状があることが文献で示唆されています。購買前検査(レポジトリー)などで発見した場合、将来的に骨折につながる懸念があることは認識しておくべきです。

 

参考文献

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 逸話的ではあるが、臨床的に遭遇する第三足根骨骨折の症例の多くは異常な形状と関連していることが示唆されている。10頭の正常な馬と10頭の第三足根骨盤状骨折発症馬についてX線検査を行い、発症前に現れるX線検査における異常所見がないか確かめた。それぞれの馬で、50度内側-底外側斜位の標準的なX線画像において、第三足根骨の近位から遠位関節面の幅の最小と最大値を計測した。画像拡大によるアーティファクトを避けるため、これらの比をとって他の馬と比較した。結果は、関節面で幅が狭く、背外側面で幅が広くなるという楔状の第三足根骨が、正常馬と比較して骨折症例馬で多かった。この情報は、購買前検査で競走に適しているか判断する重要な情報となりえる。