その①
その②
成績
臨床症状
レースや強調教後に中程度の跛行(グレードは10段階でほとんどが4-5)。発症から10-14日の期間で徐々に良化し、来診時グレード2-3であった。
身体検査
飛節の背側で熱感・疼痛あり。腫脹は第三足根骨の骨折ではごくわずかで、中心足根骨の骨折の方がより腫脹し下腿足根関節がいくらか腫脹。
中心足根骨の骨折で採取した下腿足根関節は血液の褪色した色であった。
飛節の屈曲試験ではグレードが1-2悪化した。
ほとんどの症例で臨床検査で飛節が原因と診断できた。
X線検査
骨折線は背側で4頭、背外側で9頭に認められ、たいていは骨体の背側1/4にみられたが、中央部1頭、より底側で2頭認めた。
術後経過
術後は徐々に跛行が良化し、たいていは10週後には消失した。骨折線が消失し、運動を再開できるまでの期間は3-8ヵ月。
強調教を行ったあとに跛行した3頭(2頭は中心、1頭は第三足根骨)は、スクリューを抜去した。1歳で第三足根骨を骨折し変位していた症例ではスクリューが緩んで変位し、再手術したがさらに緩んで変位し跛行もひどいため安楽死となった。
4年以上の追跡調査を行った。2頭は追跡できなかったが競走記録がないため不出走と判断した。2頭は種牡馬入り、1頭は飛節内腫(中心足根骨骨折後の変形性関節症)、1頭は関係ない理由で引退した。中心足根骨底側の骨折であった2頭は運動復帰できなかった。
競走成績
15頭(75%)は運動復帰できた。サラブレッド競走馬の1頭は術後4ヵ月で競走復帰し、その後2年間で31戦7勝の成績であった。スタンダードブレッド競走馬は13/18(72%)が運動復帰し、12/18(67%)が競走復帰した。術後10走以上した馬は8頭(50%)であった。競走復帰して勝利した馬は8頭(復帰したうちの75%)、10勝以上した馬も2頭いた。
参考文献
中心または第三足根骨盤状骨折を、内固定により20頭治療した。このうち18頭はスタンダードブレッド競走馬、1頭はサラブレッド競走馬、1頭はスウェーデン温血種であった。中心足根骨が12頭、第三足根骨が8頭であった。骨折の内固定はラグスクリュー法で行い、3.5または4.5mmのスクリューを1本(18頭)または2本(2頭)用いた。術後は1ヵ月間馬房内休養し、 その後は徐々に運動を増やすプログラムとした。3-8ヵ月かけて立ち上げ、調教を再開した。15頭は問題なく運動することができた。スタンダードブレッドは12頭(72%)が術後に出走し、サラブレッドも出走できた。術後出走した13頭のうち9頭(69%)は勝利した。