全身麻酔からの覚醒後に跛行し、橈側手根骨掌側の骨片骨折が判明した症例が大部分を占めたこの調査では、保存療法では復帰できず、関節鏡手術でも元通りの運動に復帰することは難しかった。
通常の運動によって発症する骨折とは性質が違うのかもしれない。背側の骨片が掌側に移動してしまうこともあるが、この症例報告はそのタイプではないようでした。
目的
橈側手根骨掌側の骨折を呈し、さらに他の手根骨掌側の骨折を併発している、もしくはしていない馬について、臨床所見、X線所見、治療および成績を明らかにすること。
デザイン
回顧的研究
動物
10頭
方法
医療記録を回顧的に調査し、経過、シグナルメント、臨床およびX線所見、治療および成績についての情報を得た。馬主およびかかりつけ医から追跡情報を得た。
結果
7頭は関係のない問題の治療のための全身麻酔からの覚醒後に跛行を呈した。のこりの3頭は、1頭が転倒後に跛行、2頭が放牧した後に跛行を呈した。10頭全て橈側手根骨掌側面に骨折をみとめた。加えて、2頭で尺側手根骨の骨折をみとめた。外科的治療を行わなかった4頭は全て運動復帰できず、うち3頭は跛行が良化せず安楽死となった。6頭は外科的に骨片を除去した。2頭は跛行が持続して安楽死となり、1頭は他の理由で安楽死となったが、2頭は軽い運動に復帰し、1頭は運動復帰した。
結論と臨床的関連性
馬において、腕節掌側面の骨折はまれであることが示唆された。骨折発症馬の予後は不良であると思われるが、関節内の骨片除去を行った馬では予後がよくなるかもしれない。