Stover先生は、重篤な骨折に先行する損傷(前駆病変)があることに注目し、さまざまな調査を行い文献にされています。
他にも生体力学的な検証に関する文献も多数あります。
競走馬の重篤な骨折を防ぐためには、先行する損傷を早期に発見し、十分な治療(たいていは十分な休養期間が必要)を行うことができるかが重要となります。
そして、どの部位に異常所見が出るのか、どうすれば検出できるのか認識しておくことも重要です。日々進化する医療技術により、これまではわからなかった異常が判別できるかもしれません。常にアップデートすることを心掛けねばなりません。
調教や競走中に繰り返し高強度な負荷がかかり、それがダメージからの回復の範囲を超えてしまうと、局所的な骨粗鬆症や骨の弱体化が一時的に発生し、骨折が起きやすくなる。臨床的には、このことは皮質骨の疲労骨折や軟骨下骨のストレスリモデリングと対応している。先行する病変の根拠としては、外骨膜性の仮骨、内骨膜性の仮骨、皮質骨内の局所的な充血が疲労骨折の所見として、硬化した緻密な海綿骨組織とその表層にみられる局所的な軟骨下骨の充血がストレスリモデリングの所見として挙げられる。これらの所見は急性骨折と直接的、物理的関連があるに違いなく、したがってこれらの異常所見があることで完全骨折が起きやすくなっていると推察する。先行する病変が確認されたことは、剖検報告書において競走馬産業にかかわるものに伝えられるべきである。なぜならこのメカニズムを通して、調教師、獣医師および馬主に理解してもらえるからである。競走馬における重篤な骨折を発症した馬に特化して、標準化された解剖学的な命名法、骨折の分類、剖検所見の全体的な記録から情報を得ることで、軽度な損傷を検出し管理する方法を変え、重篤な骨折を防ぐことができるように変えられる。