購買前のレポジトリ検査などで膝関節に認められる病変のひとつに、大腿骨外側滑車の骨軟骨症があります。これは症状を示さない場合もありますが、跛行やプアパフォーマンスの原因になりうる疾患です。
外科的に掻爬することで、術後にパフォーマンスを発揮できる良好な予後が報告されています。一方で、複数の病変や内側滑車にみられるOCDは予後が悪いことも報告されています。
参考文献
目的
スポーツホースの大腿骨外側滑車の骨軟骨症に対する関節鏡手術後の短期および長期成績を明らかにすること。
方法
英国においてスポーツホースとして使う馬の医療記録を回顧的に調査した。成績は電話聞き取りにより行った。
結果
症例は37頭、主に温血種で、大腿骨外側滑車の骨軟骨症に対して関節鏡による外科的治療を行った。短期成績では、37頭中27頭で合併症はみられなかった。7頭で術後に跛行と関節腫脹がみられ、4頭は最終的に解消した。長期成績は29頭で得られ、19頭は期待した通りのパフォーマンスが可能であった。5頭は運動しているものの、期待した運動レベルではなく、他の5頭は運動に使えなかった。病変の深さは短期成績の関節腫脹や跛行と有意に関連していた。病変の深さと長さは長期成績には関係がなく、外側滑車以外の構造(膝蓋骨や内側滑車)に病変が見られた場合は予後は悪かった。
臨床的意義
外側滑車に対する関節鏡手術後のスポーツホースの予後は、他の調査や膝関節の他の部位にみられる病変の治療成績と同等であった。