調査で分かったこと
大動脈弁の逆流がある症例では、心エコー検査において左心室拡大、大動脈径拡大、左室内径短縮率(FS)の増大が確認されました。
聴診において大動脈弁領域と心尖部で聞こえる全拡張期のデクレッシェンド型雑音は、大動脈弁閉鎖不全症の診断において重要となります。また、bounding pulseは重要なキーとなります。
bounding pulseは、大動脈弁閉鎖不全や動脈管開存症などでみられる現象で、抹消動脈における拍動が大きくなる現象で、最大と最低の血圧の差が大きくなることが原因とされています。
参考文献
大動脈弁閉鎖不全のある23頭を心エコーで検査し、Mモードによる検査を23頭、Bモードで14頭その場で検査した。大動脈弁および僧帽弁の異常、それぞれの弁の動きの変化を評価した。左心室の大きさや機能、大動脈径の大きさの変化も評価した。他に心疾患があれば記録した。大動脈弁閉鎖不全のある馬では左心室の大きさ、大動脈の直径およびFS(左室内径短縮率)が有意に増大していた(P<0.01)。左心室自由壁の厚みは有意に減少した(P<0.01)。23頭すべてで心エコー検査で弁の異常が確認された。大動脈弁閉鎖不全の馬のうち18頭で弁の肥厚がみられた。一方で疣贅性心内膜炎に関連した病変が2頭でみられた。僧帽弁の中隔の弁葉における高頻度の振動は全ての症例でみらたが、一方で大動脈弁の弁葉における同様の振動は6頭のみであった。bounding pulseは拡張期の左心室拡大とFSの増大と有意な相関があった(P<0.05)。これは左心室の顕著な用量過負荷を示唆している。bounding pulseと、大動脈弁領域を最強点とし、心尖部に放射状に広がる、全拡張期のデクレッシェンド型雑音G2-5/5がある場合には大動脈弁閉鎖不全の信頼性のある診断となる。
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