膝関節OCD(大腿骨滑車)と飛節OCD(脛骨中間稜)は、購買前検査(レポジトリー検査)でよく見つかる病変部位です。
近年ではセリよりも前に検査を行うプレレポジトリーや、スクリーニング検査が増加してきており、OCDの診断が早まってきています。
これらの手術を受けた馬について、その後の競走パフォーマンスについて詳しく調査された報告はあまりありません。
調査で分かったこと
オーストラリアのサラブレッドにおいて、当歳から1歳の間でOCD除去手術を受けた馬を対象に、その後の競走成績を調査しました。年齢や性別がマッチする対照群を設定し、症例群と競走成績を比較しました。
膝関節OCD症例馬は対照群と比較して、獲得賞金、出走回数、勝利数が有意に少ないことが示されました。一方で飛節のOCDは出走回数のみ有意に少ないことが示されました。
参考文献
目的
大腿骨滑車のOCDまたは脛骨中間稜のOCDが購買前のX線検査でみつかり、関節鏡手術を行った離乳当歳または1歳馬について、競走パフォーマンスに影響するか明らかにすること。
研究デザイン
回顧的症例対照研究
動物
サラブレッド離乳当歳または1歳
方法
膝関節のOCD37頭(オス22頭、メス15頭)、飛節OCD35頭(オス22頭、メス13頭)の症例馬。競走パフォーマンスは、出走回数、勝利数、入着数、獲得賞金、2歳から3歳時の成績と生涯の成績について評価した。症例と年齢および性別のマッチした対照群と、マルチレベル直線回帰モデルを用いて比較した。手術時の年齢および術者の経験が膝関節OCD症例の成績に影響するか、併せて調査した。
結果
膝関節OCD症例は手術時に190-563日齢で、生涯獲得賞金(P=0.043)、生涯出走回数(P=0.001)、生涯の勝利数(P=0.003)が、対照群より有意に少なかった。飛節OCD症例は手術時に127-470日齢で、出走回数が対照群より少なかった(P=0.018)。膝関節OCD症例は、手術時の年齢が若く、術者の経験が少ないことが成績が悪いことと関連していた。
結論
膝関節OCD症例は対照群より競走馬としてのパフォーマンスが劣るようである。手術時の年齢はその後の競走パフォーマンスに影響する。