育成馬臨床医のメモ帳

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通常成馬の足根関節軟骨の超音波検査による評価(Tomlinsonら2000)

調査で分かったこと

飛節の超音波検査では、特に下腿足根関節において、関節軟骨を評価することができます。

超音波検査を用いることで、距骨の内側または外側滑車および脛骨中間稜において、関節表面の軟骨を観察することができます。高エコーな骨の輪郭に薄く低エコーな領域が覆っていて、これが軟骨の層を表しています。

特に脛骨中間稜はOCD好発部位であるため、超音波検査による摘発が可能になるかもしれません。また、骨関節炎による軟骨肥大化や、関節軟骨の損傷も評価できる可能性があります。

 

 

 

参考文献

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

臨床的にもX線検査上でも正常な4頭の成馬の飛節について超音波検査を行った。距骨滑車および脛骨中間稜の関節軟骨には特に注意を払った。それぞれの部位で長軸断面から関節軟骨の厚みを別々に2回測定した。剖検を行い解剖を確認した。距骨滑車および脛骨中間稜の関節軟骨を描出するために実用的な方法であることが分かった。軟骨は、高エコーな軟骨下骨を覆う低エコーな領域に見えた。距骨の内側滑車、外側滑車および脛骨中間稜の軟骨の厚みは、それぞれ平均0.57、0.58,0.7mmであった。これらの計測値は、軟骨の肥厚や骨軟骨炎、骨関節炎により異常に肥厚した軟骨との比較に使えるかもしれない。超音波検査は近位および遠位の足根関節および足根中足関節の評価には使えなかった。これは関節面どうしが近すぎて、関節軟骨をぼやっとしか描出できなかったことによる。

 

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