P1矢状骨折に対する整復方法はどれが優れているのか。
調査で分かったこと
P1矢状骨折の整復方法について、リニア法とトライアングル法を生体外の実験で比較した研究。
解剖体を用いてP1矢状骨折モデルを作成し、螺子を近位と遠位に2本並べたリニア法、螺子を近位2本、遠位1本の計3本を使ったトライアングル法で整復。
整復後のギャップおよびそれが負重時にどう変化するかをCT検査画像で断面を変えて検証した。
トライアングル法は負重条件によらず骨折線のギャップが変わらないことがわかった。
参考文献
目的
実験的に作成した前肢P1完全骨折に対して、4.5mmラグスクリューでリニア法とトライアングル法を用いて整復したギャップと安定性について評価すること。
研究デザイン
実験
サンプル集団
14頭の馬解剖体
方法
リニア法では、骨折再現モデルを4Nmのトルクで2本のラグスクリューを挿入して整復した。歩行時にかかる力を再現し、負重時と非負重時でCT検査を行った。トライアングル法では、骨折再現モデルに対して3本のラグスクリューを用いて同様に整復しCT検査を行った。骨折のギャップ幅は2人の評価者が定量し、グレード分類はP1背側、中央、掌側における平均ボクセルサイズに対するギャップの相対値に基づいて行った。評価者間の一致性はCohenのκ(カッパ係数)*1で評価した。整復方法、負重条件、計測部位が骨折のギャップグレードに与える影響は、ノンパラメトリックなペア検定およびKendallのτ係数*2を用いて評価した。有意水準はP<0.05とした。
結果
負重条件と骨折ギャップの幅の一致は、トライアングル法でκ=0.53、リニア法でκ=0.81であった。リニア法では負重時に骨折ギャップがなくなった(P=0.008)。トライアングル法では負重による違いは少なかった(非負重時P=0.003、負重時P<0.001)。整復方法と非負重時のP1中央および負重時のP1背側におけるギャップグレードには相関がなかった。
結論
生体外での実験において、P1傍矢状完全骨折の整復は、トライアングル法によりギャップの整復と安定性が改善できた。
臨床的意義
トライアングル法によるラグスクリュー固定は、術後負重時に生体力学的な条件を改善できる可能性がある。
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