育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

馬のプアパフォーマンス:整形外科以外の診断について(Ellisら2022) ⑧血栓症

プアパフォーマンス

馬におけるプアパフォーマンスの原因は様々です。まず思いつく原因として、整形外科的な疾患では関節炎や腱鞘炎、疲労骨折など疼痛や機械的な障害を伴うものがあります。ですが、他にも様々な呼吸器、循環器、消化器および筋肉の疾患があります。

 

まずは慎重な症状の聞き取りと身体検査が重要となります。ここで示す症状が呼吸器症状か、循環器症状か、歩様異常か、消化器症状かを大別します。そこからさらに詳しく分類し、それぞれ診断するための検査に進みます。

 

 

 

血栓症の場合

大動脈から腸骨および大腿動脈に分岐する大きな血管に血栓症をおこすと、末梢の循環が障害されることにより、疼痛や跛行を示すことがあります。患肢は運動しても冷たく、蹄角質の部分的もしくは全体な崩壊または脱蹄がみられることがあります。

馬において弁逆流症に伴う血栓症はまれで、この部位における血栓症は敗血症やエンドトキセミアなどと関連すると考えられています。

 

 

 

参考文献