種子骨の関節におよんでいない底部骨折に対して、より組織侵襲の少ない方法で除去手術を行った馬の治療成績についての論文紹介です。
馬術競技馬が多いですが、競走馬も含まれていて、9/10が求められる用途に復帰しました。
目的
パフォーマンスホースにおける種子骨底部の非関節性骨折の外科的除去方法とその結果を記すこと。研究デザイン
回顧的研究動物
11頭の馬で年齢は7ヵ月から10歳、非関節性の種子骨底部骨折を原因とする跛行を示した症例とした。方法
臨床検査および診断麻酔により、球節部を跛行の原因と特定した。X線検査により、非関節性の種子骨底部骨折と確定した。アプローチは、種子骨底部の直上から屈腱鞘まで切開した。次に針を用いて骨片を探し、直種子骨靱帯に小さな垂直切開を加えて骨片の付着部を切り離して除去した。すべての馬で6ヵ月間かけて休養およびリハビリを行った。結果
11頭で16の骨片があった。前肢が11/16(69%)で、このうち右前(82%)および内側(73%)が多かった。フォローアップでは9/10が望まれた用途に復帰した。結論
種子骨基部の非関節性骨折は、掌側/底側から深屈腱腱鞘と直種子骨靱帯を切開することでアプローチできる。この「鍵穴」アプローチなら、種子骨遠位靱帯付着部への損傷を最小限に抑えられ、望んだ用途に復帰できる馬もいる。臨床的関連性
骨片によりパフォーマンスが制限される跛行を伴う馬では骨片の外科的切除を考慮すべきである。