育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

骨折

外側膝蓋靱帯の超音波検査における正常と異常所見(Gottliebら2016)

膝関節を原因とする跛行のうち、膝蓋靱帯の損傷は多くありません。靱帯損傷の多くは外傷と関連していて、ほとんどで靱帯付着部の骨折を伴うことが報告されています。 膝蓋靱帯は正常な馬でも超音波検査画像は独特な見え方をしますが、重度の跛行を伴う靱帯損…

2歳競走馬における中手骨背側の疾患リスクと骨代謝マーカー(Jacksonら2005年)

中手骨背側の骨疾患 若齢の競走馬でよくみられる中手骨背側の骨疾患(DMD)は、小さな骨損傷および骨膜炎を主体とする病態で、疼痛や跛行を伴います。軽微な症状であれば調教は継続できるものの、疼痛や跛行が明らかな場合、治癒を優先させなければいけない状…

12頭のサラブレッド競走馬における第三中手骨骨幹端完全骨折と関連した先行する病変(Grayら2017)

第三中手骨背側には運動により骨が圧迫され、たわむような負荷がかかります。繰り返し負荷がかかることで骨の修復できる以上の障害が続くと骨膜炎が生じ、さらに繰り返しの負荷が継続するとやがて疲労骨折を起こしてしまいます。 特に育成期にはよくみられる…

第三中手骨皮質骨疲労骨折に対する骨穿刺術を行った28頭の追跡調査(Hanieら1992)

第三中手骨背側には運動により骨が圧迫され、たわむような負荷がかかります。繰り返し負荷がかかることで骨の修復できる以上の障害が続くと骨膜炎が生じ、さらに繰り返しの負荷が継続するとやがて疲労骨折を起こしてしまいます。 特に育成期にはよくみられる…

サラブレッド競走馬の第三中手骨背側皮質骨折に対する外科的治療53例(Cervantesら1992)

第三中手骨背側には運動により骨が圧迫され、たわむような負荷がかかります。繰り返し負荷がかかることで骨の修復できる以上の障害が続くと骨膜炎が生じ、さらに繰り返しの負荷が継続するとやがて疲労骨折を起こしてしまいます。 特に育成期にはよくみられる…

第三中手骨の背側皮質不完全骨折に対する骨穿刺術11頭の成績(Spechtら1990)

第三中手骨背側には運動により骨が圧迫され、たわむような負荷がかかります。繰り返し負荷がかかることで骨の修復できる以上の障害が続くと骨膜炎が生じ、さらに繰り返しの負荷が継続するとやがて疲労骨折を起こしてしまいます。 特に育成期にはよくみられる…

サラブレッド競走馬の第三中手骨背側疲労骨折に対する螺子固定56頭の成績(Dallapら1999年)

第三中手骨背側には運動により骨が圧迫され、たわむような負荷がかかります。繰り返し負荷がかかることで骨の修復できる以上の障害が続くと骨膜炎が生じ、さらに繰り返しの負荷が継続するとやがて疲労骨折を起こしてしまいます。 特に育成期にはよくみられる…

第三中手骨背側皮質骨の疲労骨折に対する螺子固定116頭(Jalimら2010)

第三中手骨背側には運動により骨が圧迫され、たわむような負荷がかかります。繰り返し負荷がかかることで骨の修復できる以上の障害が続くと骨膜炎が生じ、さらに繰り返しの負荷が継続するとやがて疲労骨折を起こしてしまいます。 特に育成期にはよくみられる…

第三中手骨背側皮質骨の疲労骨折に対する治療法

背側皮質骨の疲労骨折 馬の第三中手骨は、管骨と呼ばれる骨です。 第三中手骨背側(正面)に骨と同じような硬い腫脹ができると、ソエや管骨骨膜炎と呼ばれます。骨に微細な障害が起き、修復する過程で骨増生が起きることで、硬い腫れが触れるようになります…

スタンダードブレッド競走馬におけるP1矢状不完全骨折の治療前後のパフォーマンス比較(Tetensら1997)

P1矢状不完全骨折について P1の短い不完全骨折は疲労性傷害との関連が示唆されています。詳しくは以下の記事から equine-reports.work equine-reports.work equine-reports.work (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 短い矢状骨折であっても…

3頭の競走馬におけるP1骨折前駆病変を疑う臨床および画像所見(Ramzanら2010)

調査でわかったこと 2010年にニューマーケットのRossdaleのグループから発表された症例報告。3頭の現役平地サラブレッド競走馬が速い調教後に跛行した。跛行グレードは1-2/10と軽度で、全ての症例で球節の屈曲痛や関節の腫脹はなく、P1近位背側の軽度な触診…

競走馬におけるP1掌側または底側面の骨軟骨片(Whittonら1994)

第一指(趾)骨の掌側(底側)骨片 第一指(趾)骨の掌側(底側)に発生する骨軟骨片は、靱帯付着部に発生します。球節に大きな捻転負荷がかかることで、靱帯が付着している部分がちぎれてしまう捻除骨折と考えられています。 この骨折は、関節や骨が未熟な…

MRIで診断したP1矢状溝部骨損傷に対する保存と外科療法の比較(Lipreriら2018)

P1矢状溝部の軟骨下骨損傷はX線検査での診断が難しく、MRIの特徴的な所見で診断される。この損傷による跛行に対する治療法やその予後についてはまだ報告が少ない。 equine-reports.work (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); equine-reports.…

馬の第一指骨傍矢状骨折に対するリニアまたはトライアングル法のスクリュー固定の生体外における比較(Labensら2019)

P1矢状骨折に対する整復方法はどれが優れているのか。 equine-reports.work equine-reports.work equine-reports.work 調査で分かったこと P1矢状骨折の整復方法について、リニア法とトライアングル法を生体外の実験で比較した研究。 解剖体を用いてP1矢状骨…

英国サラブレッドのP1矢状骨折に対するリニアとトライアングル法によるスクリュー固定63症例の成績

P1矢状方向の骨折(いわゆる縦方向の骨折)の内固定方法は、関節面に近いほうを背側と掌側に2本のスクリューを設置するトライアングル法が近年の主流となっています。 しかし、臨床成績を比較した調査はこれまで行われていませんでした。 equine-reports.wor…

馬の軟骨下骨損傷診断にMRIを用いた11症例(Zubrodら2004)

関節を原因とする跛行と特定できているのにX線検査では診断できない(明確な所見が得られない)ときにはMRI検査が有効です。 特に軟骨下骨の損傷はMRIでみられる特定のパターンがあり、X線検査ではこれを検出することが難しいことがわかっています。 単純X線…

競走用でない馬のP1不完全骨折をX線とCTで評価した(Brünisholzら2015)

P1不完全骨折と診断した競走用でない馬におけるX線とCT検査を用いた骨折線の評価を行った報告です。 調査対象となったのは、ほとんどは温血種で、サラブレッドよりも少し大きいサイズ(平均576kg)、年齢は平均9.5歳でした。 CT検査では骨折形状をより詳細に…

腕節骨片を関節鏡で除去したサラブレッドとクォーターホースの10年間の調査(Grahamら2020)

調査で分かったこと 腕節の骨片骨折を発症し、関節鏡により除去した症例についての回顧的調査。この術式が報告されてから長らく治療成績をまとめた報告はありませんでした。 2020年にサラブレッドとクォーターホースの競走馬について治療成績が報告されまし…

蹄骨伸筋突起の関節鏡視下掻爬術の長期成績13症例(Croweら2010)

蹄骨伸筋突起の骨折は、外傷(外力)または過伸展が原因と考えられますが、急性期に気づかれることは少ないとされています。特に成長期に発生した骨折は、症状が軽度なため気づかれにくく、慢性の病態として蹄冠部の腫脹や蹄角質の異常がみられ、X線検査で発…

脛骨外果骨折の関節鏡による治療26頭(Smithら2011)

脛骨外果骨折について連続して取り上げます。 脛骨外顆骨折 この骨折は、飛節の外側を構成する脛骨の外果に発生します。外傷に関連して発生することが多く、転倒や転落などのアクシデントはこの疾患を疑う上でのキーとなる稟告です。育成期には、凍った地面…

脛骨外果骨折の関節鏡による骨片除去:13頭の回顧的調査(O'Neillら2010)

脛骨外果骨折について連続して取り上げます。 この骨折は、飛節の外側を構成する脛骨の外果に発生します。外傷に関連して発生することが多く、転倒や転落などのアクシデントはこの疾患を疑う上でのキーとなる稟告です。育成期には、凍った地面での転倒や、ウ…

馬の脛骨外果骨折16頭(Wright1992)

脛骨外果骨折について連続して取り上げます。 脛骨外顆骨折 この骨折は、飛節の外側を構成する脛骨の外果に発生します。外傷に関連して発生することが多く、転倒や転落などのアクシデントはこの疾患を疑う上でのキーとなる稟告です。育成期には、凍った地面…

非競走馬におけるP1短矢状骨折に対する螺子固定による骨接合術の長期成績(Brynerら2020)

先日紹介した乗用馬におけるP1の短矢状骨折の治療成績においては、外科的な治療を選択することで運動復帰できる可能性があることが示唆されました。 equine-reports.work 2020年に発表された温血種を主とする乗用馬の治療成績の報告では、31頭中27頭がもとの…

競走用でない馬のP1短矢状骨折(Kuemmerleら2008年)

球節を構成する第一指(趾)骨(P1)における矢状骨折は競走馬に多く発生しますが、乗用馬にも発生することがあります。 なかでも短い矢状骨折については、軟骨下骨の骨硬化やシスト状病変を伴うことがあることがあることが報告されています。保存療法では跛…

球節背側骨片骨折に対する非外科と外科処置の競走成績(Ramzanら2020)

背景とはじめに 調査でわかったこと 参考文献 背景とはじめに 球節背側の骨片は、1回の大きな負荷もしくは慢性的な繰り返し負荷によるリモデリングから二次的に発生する可能性があります。 この骨片に対する治療は、外科的に摘出する方法とその成績が報告さ…

球節の骨片骨折に対する非外科と外科的処置(Ramzanら2020)

背景とはじめに 球節背側の骨片は、前肢でP1背内側に最も発生しやすく、偶発所見の場合もあれば、関節腫脹や跛行を伴うこともあります。1回の大きな負荷もしくは慢性的な繰り返し負荷によるリモデリングから二次的に発生する可能性があります。 この骨片に対…

競走馬において運動の距離とスピードは骨折リスクに影響する(Verheyenら2006年)

競走馬の骨折と調教内容について分析することは、疾病発生リスクを評価するうえで重要ですが、様々な要素が関わっていることやデータが取りにくいことが障壁となります。同一または同じような調教場を使って調教しているサラブレッドを対象にすることで、均…

英国競走馬における第一指骨近位背側骨軟骨片の発生分布(Walshら2018)

はじめに 様々な血統や用途の馬において、球節内の骨片骨折は背内側に多く発生することが報告されています。球節に骨折した場合には骨片は角がありますが、慢性または陳旧性の骨片は角がとれた丸い形をしています。 研究でわかったこと 英国におけるサラブレ…

球節に起因する跛行の馬にみられる低磁場MRI所見131頭(Powell2012)

球節領域の損傷はさまざまな病態があり、微小な変化は単純X線検査だけでは検出できない可能性があります。MRIでは、骨折や骨軟骨損傷に関連した信号パターンが続々と明らかにされてきています。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); はじめ…

競走馬の肩甲骨骨折と疲労骨折

診断麻酔で腕節または前腕以下のブロックに反応しなかった場合、より近位の肘や肩関節などを疑って検査を進めます。 肩甲骨や上腕骨の骨折は、先行する疲労骨折に関連して発生すると考えられています。 肩甲骨骨折の起きやすい部位は、遠位で肩甲棘と頚部の…