育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

馬の部位別の成長板閉鎖時期とALP動態(Strandら 2007年)

馬の長骨の伸長をつかさどる成長板は、肢端から順番に閉鎖し成長が止まっていきます。馬において最も骨が成長する時期は生後6か月で、それ以降は徐々に成長が止まっていきます。 サラブレッド種の馬において、球節部(第一指骨と第三中手/中足骨)の成長板は…

馬の成長板軟骨におけるALPの局在(Hensonら 1995年)

骨代謝のマーカーとしてモニタリングされることの多いALP(アルカリフォスファターゼ:アルフォス)について馬での軟骨における活性動態を調べた文献があります。 はじめに 研究の目的 結果と考察 参考文献 はじめに この文献では、まず成長板に存在する軟骨…

成長期の馬の骨代謝活性(Priceら 2001年)

骨形成マーカーの例 骨吸収マーカーの例 骨代謝マーカーを用いた診断 馬における骨代謝マーカー 文献でわかったこと 所感 参考文献 ヒトでは、骨代謝マーカーが複数報告されており、骨疾患の診断にも用いられています。 骨代謝には、骨の形成にかかわるマー…

骨代謝マーカーの年齢による変化(Priceら EVJ1995年)

骨形成マーカーの例 骨吸収マーカーの例 骨代謝マーカーを用いた診断 馬における骨代謝マーカー 文献でわかったこと 所感 参考文献 ヒトでは、骨代謝マーカーが複数報告されており、骨疾患の診断にも用いられています。 骨代謝には、骨の形成にかかわるマー…

馬のALPアイソザイムと年齢、調教、病気による変化(Thorén-Tolling 1988年)

ALPには主に肝臓、腎臓、骨のアイソザイムが存在することが知られています。ルーティンな検査では総ALPのみ測定しますが、その内訳を知っておくことで馬の状態をよりよく理解できる可能性があります。 成馬では主に肝臓型のALPが血中に存在します。新生児か…

若馬の橈骨遠位骨端部のシンチグラフィ所見(Uhlhornら 2000年) 

成長板が閉鎖したあとは、軟骨内骨化が盛んだったその部位では何が行われているのでしょうか。 想定されるのは骨基質のターンオーバーですが。。。 シンチグラフィを用いて骨代謝の活性を評価してみた、という報告がなされています。X線検査で成長板閉鎖が確…

橈骨粗面の付着部損傷(Oikawaら 1998年)

馬の橈骨粗面は、橈骨背側近位に位置し、上腕二頭筋の橈骨頭が終止する部位です。 X線検査では、患肢を前に引っ張って保定し、外内方向に撮影することで評価できる像が得られます。 まれにではありますが、腱靱帯付着部にかかるテンションに耐えられず、障害…

去勢術後の合併症レビュー:現場での治療戦略(Getman 2009AAEP)

馬の去勢術は、よく行われる手術の一つですが、合併症の発生率は比較的高いです。 軽度な腫脹、漿液腫、出血などから、感染、腹膜炎、腸管脱出、陰茎損傷、陰嚢水腫といった比較的重度な合併症も発生することがあります。 馬の解剖学的な素因(腹腔内や鼠径…

ヘンダーソン式去勢術に関連した合併症の発生率(Hintonら EVJ2019年)

馬の去勢術の術式のひとつとして、ヘンダーソン式去勢術が考案・実施されています。この方法は、ヘンダーソン式去勢具に精索を挟み込み、これを電動ドリルまたは手動で回転させて捻じ切るという術式です。 ※下記リンクは実際の手術写真を含みますので閲覧に…

去勢術後の精索の感染:23症例の回顧的研究(Claffeyら VetSurg2018年)

去勢術後の合併症である精索への感染を外科的に処置した症例の報告。

去勢術後の炎症反応のモニタリング(Jacobsenら EVJ2005年)

去勢術後の炎症をモニタリングするための急性相タンパク質の変化。

去勢術後の腸管脱出18例(Thomasら 1998年)

去勢術後の腸管脱出は、広く開いた鼠径管が腹腔に通じており、そこから小腸を主とした内臓が逸脱することを指します。 これは手術の体位(立位、仰臥、横臥)や手技によらず、術後4時間以内に起きると報告されていますが、最長で12日後に逸脱に気づいたとい…

去勢術の合併症に関する複数病院での前向き調査(Hodgonら 2019年)

英国での去勢術に関連した合併症の前向き調査をまとめた報告。

馬の去勢手術の合併症:324例の解析(Kilcoyneら JAVMA2013年)

カリフォルニア大学デイビス校の獣医教育病院で行った300頭以上の去勢手術とその合併症をまとめた文献が報告されています。 ここでは、合併症の発生率は10.2%、致命的な腸管脱出の1頭を除き、全て回復したと報告されています。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 目…

馬の去勢術における合併症の調査(Mollら 1995年)

米国の馬臨床医に対して行った、去勢術後の合併症聞き取り調査の結果をまとめた。