育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

靱帯炎

繫靱帯脚炎の超音波、CT、MRI、剖検所見(Elemmawyら2019)

競走馬の繫靱帯脚炎 種子骨炎に関連した繫靱帯脚炎は育成期から競走期にかけてよくみられます。 十分な休養と運動制限を組み合わせたリハビリを経ることで、良好な治療成績を得ることができます。また、近年では繫靱帯脚部辺縁損傷に対して、損傷部分をトリ…

外側膝蓋靱帯の超音波検査における正常と異常所見(Gottliebら2016)

膝関節を原因とする跛行のうち、膝蓋靱帯の損傷は多くありません。靱帯損傷の多くは外傷と関連していて、ほとんどで靱帯付着部の骨折を伴うことが報告されています。 膝蓋靱帯は正常な馬でも超音波検査画像は独特な見え方をしますが、重度の跛行を伴う靱帯損…

中間膝蓋靭帯の損傷は他の膝関節の異常と同時に発生することが多い(Hoaglundら2019)

膝蓋骨に付着する靱帯は内側、中間、外側の膝蓋靱帯がある。なかでも中間膝蓋靱帯は膝蓋骨遠位から脛骨近位背側の脛骨粗面に終止する。 この靱帯の損傷はこれまでにあまり報告がないが、一般的には運動復帰の予後が悪いとされていた。今回は超音波検査で中間…

立位での手根管腱鞘の診断的腱鞘鏡(Miagkoffら2020)

はじめに 手根管症候群の原因はさまざまで、深屈腱または浅屈腱や支持靱帯、もしくはそのほかの軟部組織損傷が原因となる可能性があります。 equine-reports.work equine-reports.work 調査で分かったこと 腱鞘内の構造は、X線検査や超音波検査だけでは診断…

下腿足根関節の軟部組織損傷:関節鏡所見の回顧的調査30頭(Barkerら2013)

飛節を原因とする跛行に関連する骨疾患は、診断の難しい足根骨の骨折や、脛骨外果または内果の骨折といった病変が挙げられます。しかし、骨の損傷だけではなく、関節内の軟部組織損傷でも跛行することが報告されています。 equine-reports.work equine-repor…

膝関節の跛行と探査的関節鏡と掻爬後の長期成績44頭(Cohenら2009)

膝関節を原因とする跛行は、育成期には骨シスト状病変によるものが多いですが、高齢馬では関節内の軟部組織(靭帯、半月板、関節包、軟骨など)を損傷していることが多いです。 文献でわかったこと 膝関節を原因とする跛行の症例において、半月板の損傷は多…

球節に起因する跛行の馬にみられる低磁場MRI所見131頭(Powell2012)

球節領域の損傷はさまざまな病態があり、微小な変化は単純X線検査だけでは検出できない可能性があります。MRIでは、骨折や骨軟骨損傷に関連した信号パターンが続々と明らかにされてきています。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); はじめ…

近位種子骨軸側骨炎8症例(Dabareinerら2001)

文献でわかったこと 種子骨軸側の骨炎は、X線DP像での種子骨の透過領域に基づいて診断されます。また、超音波検査では種子骨間靭帯および種子骨軸側辺縁の骨の輪郭を評価することが可能です。 診断麻酔で球節内または指屈腱鞘内への麻酔を行って確定しました…

脛骨内側顆間隆起の骨折21症例(Rubio-Martinezら2020)

はじめに 文献でわかったこと 参考文献 はじめに 脛骨顆間隆起の骨折は、X線検査において膝関節内の骨片として認識されます。この骨片の鑑別診断として、前十字靱帯の付着部裂離骨折がありますが、実は発症メカニズムが少し異なるかもしれません。 (adsbygoo…

深屈腱橈骨頭の損傷に関連する手根管腱鞘炎11頭(Minshallら2012)

深指屈筋腱は、前肢後面を走行する筋肉で、蹄骨屈筋面に終止します。一方で起始部は3点に分かれており、上腕骨内側上顆から起始する上腕頭、尺骨肘頭から起始する尺骨頭、橈骨中部後内側から起始する橈骨頭があります。 橈骨中部後内側から起始する橈骨頭は…

手根管症候群の手術を受けたトロッター競走馬の成績(Carmaltら2017)

ハイライト スタンダードブレッド競走馬では、手根管症候群の症例馬は走行スピードが速いが、手術日に近づくにつれてスピードが落ちた。 競走復帰率は90.5%で、競走成績や競走寿命は、手根管症候群の症例馬と対照馬で差がなかった。 pubmed.ncbi.nlm.nih.go…

手根管腱鞘の腫脹を伴う馬121頭の筋骨格損傷と跛行(Jorgensenら2015)

手根管腱鞘の腫脹は、育成馬ではまれな疾患ですが、より年齢の高い乗馬ではより多くみられるのかもしれません。 中~高齢馬の手根管腱鞘炎は跛行を伴うことが多く、浅屈腱や浅屈腱支持靱帯が損傷していることが多く、これは超音波検査で診断できることが報告…

掌側/底側輪状靭帯損傷の回顧的調査71症例(Owenら2008)

球節部の掌側/底側輪状靭帯の損傷は、高齢の一般的な乗用馬に多くみられ、その多くは両側で靭帯の肥厚が見られます。 外貌からは球節の後面が出っ張った見た目となることが特徴で、このような見た目の球節では、超音波検査により皮下の線維化による肥厚と靭…

外掌側手根骨間靱帯の剥離骨折の所見率と外科治療への反応(Beinlichら2005)

はじめに 文献で分かったこと はじめに 馬の手根関節掌側にある靭帯は、主に内掌側手根骨間靭帯と、外掌側手根骨間靭帯があります。 内掌側靭帯は損傷や裂離骨折が多く報告されています。この靭帯は、橈側手根骨遠位外側面に起始し、第三手根骨近位掌内側と…

肘関節の内側側副靱帯損傷と骨付着部炎(Dabareinerら2013)

肘関節は蝶番関節となっており、横方向の安定性は非常に高いです。それには関節の構造だけでなく、両側の側副靱帯が大きな役割を果たしています。 馬の肘関節側副靱帯損傷はまれな疾患ですが、重度の跛行を示し、負重困難となることもあります。 競技馬の4頭…

管骨後面の外骨症16例(Bertoniら JAVMA2012)

球節より近位の管骨後面には、ときどき外骨症という骨形成がみられることがあります。これまで私が経験した症例は、特にこれに関連した臨床症状がない、たまたまみつかった(偶発的な)所見にすぎませんでした。超音波検査を行った症例でも、明らかに繋靭帯…

種子骨軸側の骨髄炎(Winsterら EVJ1991年)

種子骨軸側辺縁の骨髄炎は、X線検査でこの部分の透過性亢進やシスト状所見として認識されます。 感染性関節炎や腱鞘炎に関連する病態もあれば、種子骨間靱帯による繰り返し負荷による慢性の病態もありそうです。 跛行のグレードは非常に悪く、治療も難しいよ…

X線検査で診断のつかない球節のMRI所見(Kingら 2013年)

以前、診断麻酔についてまとめた報告をしたことがあります。球節部に疼痛があると判断した馬のなかで、X線や超音波検査で診断がつかなかった症例は、〇%でした。この場合、どこに原因があるかよくわからず、症状が緩和するまで一定期間休養するしかありませ…

深屈腱支持靭帯切断術の長期的成績(Beckerら 1998年)

成馬における実験的な深屈腱支持靭帯切断術の長期的結果。

深屈腱支持靭帯炎についてのまとめ

深屈腱支持靱帯炎についてのまとめ。教科書参照。

国内の深屈腱支持靱帯炎に関する報告(JRA野村ら 2019年)

深屈腱支持靱帯炎を発症した乗用馬・競走馬の8例(JRA野村ら 2019年 日本ウマ科学会一般講演 演題番号3)

深屈腱支持靭帯炎に対する靭帯切断術(Yiannikourisら 2011年)

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov ”要約 目的 深屈腱支持靭帯炎または遠位指節間関節の屈曲異常の治療を目的に、2歳以上の成馬に対して深屈腱支持靭帯切断術を行った成績を報告すること。 研究デザイン 症例集 動物 深屈腱支持靭帯炎9頭、遠位指節間関節の屈曲異常15…

正常な深屈腱支持靭帯の肉眼・組織・MRI所見(Nagyら 2011年)

跛行のない前肢の深屈腱支持靭帯の解剖学、MRIおよび組織学的所見

深屈腱支持靭帯の力学的特性と年齢の関係(Beckerら 1994年)

実験室レベルでの、深屈腱支持靭帯の力学的特性と年齢の関係

後肢の深屈腱支持靭帯炎の2つの臨床症状(Eliasharら 2005年)

23頭の馬における後肢の深屈腱支持靭帯炎の2つの臨床症状

腱損傷による後天的な球節屈曲異常(McDiarmid 1999年)

中手掌側の腱損傷に関連した後天的な前肢球節の屈曲異常5頭

深屈腱支持靭帯炎と繋靭帯炎の併発19例(Plowrightら 2015)

近位繋靭帯炎と近位深屈腱支持靭帯炎を併発した前肢および後肢の症例19頭

近位深屈腱支持靭帯炎の12例(Dyson 2011年)

前肢と後肢における近位深屈腱支持靭帯炎の12頭(2006‐2010年)

深屈腱支持靭帯炎の臨床・画像の特徴(van den Beltら 1993年)

24例の深屈腱支持靱帯炎の臨床的特徴と超音波画像の特徴。