育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

ウェルカム獣医学生研修!

2022.08.30 追記・編集 引き続き、BTC診療所における職場見学・研修・インターンを募集します。 *原則、獣医学部4年生以上を対象とします。 馬の生産地である日高の獣医さんのところで研修してみませんか? 特に春から夏にかけては繁殖や子馬の診療も増える…

外側膝蓋靱帯の超音波検査における正常と異常所見(Gottliebら2016)

膝関節を原因とする跛行のうち、膝蓋靱帯の損傷は多くありません。靱帯損傷の多くは外傷と関連していて、ほとんどで靱帯付着部の骨折を伴うことが報告されています。 膝蓋靱帯は正常な馬でも超音波検査画像は独特な見え方をしますが、重度の跛行を伴う靱帯損…

1歳時にEE切開を行った馬のその後の競走パフォーマンス(Curtissら2020)

喉頭蓋エントラップメントは、喉頭蓋下の組織によって喉頭蓋が覆われてしまう状態で、プアパフォーマンスおよび運動時の異常呼吸音を呈することがあります。 この疾患のサラブレッドにおける本当の所見率はよくわかっていないものの、1歳セリのレポジトリ内…

大腿骨内側顆の軟骨下骨嚢胞と併発または続発した脛骨の軟骨下骨病変(Bonillaら2016)

成馬における脛骨の軟骨下骨病変は、慢性的な骨関節炎に併発してみられることがあります。そして、しばしば大腿骨の軟骨下骨病変を伴います。 半年以上の慢性後肢跛行を呈した、大腿脛骨関節の慢性関節炎の症例4頭の治療成績が報告されています。これらの症…

脛骨近位の軟骨下骨嚢胞12症例1983-2000年(Textorら2001)

脛骨近位の軟骨下骨嚢胞所見は、若い馬では骨軟骨症に関連すると考えられる病変もある一方で、運動している成馬では大腿脛骨関節の骨関節炎および大腿骨の骨軟骨病変と併発してみられることがあります。 若馬の骨軟骨炎(OA)に関連すると考えられる軟骨下骨病…

MRIとエコーで喉頭異形成を診断した5例(Garretら2009年)

喉頭片麻痺はほとんどが左に発生し、これは左反回喉頭神経が障害されやすいためと考えられています。これは解剖学的な特徴に起因するという通説がありますが、病態形成についてはまだまだ不明な点も残されています。 一方で右の喉頭片麻痺はあまり多くなく、…

トレッドミル内視鏡検査と超音波検査および安静時内視鏡検査との関連(Garrettら2011年)

反回喉頭神経症は、左反回喉頭神経の障害により、輪状披裂筋が神経原生筋萎縮をおこすことで、披裂軟骨の外転がうまくいかなくなることが主要な病態です。萎縮をおこした輪状披裂筋は、安静時の披裂軟骨の外転不全につながるだけでなく、運動などで呼吸時の…

馬のプアパフォーマンス:整形外科以外の診断について(Ellisら2022) ⑫筋肉 その他の筋疾患

プアパフォーマンス 馬におけるプアパフォーマンスの原因は様々です。まず思いつく原因として、整形外科的な疾患では関節炎や腱鞘炎、疲労骨折など疼痛や機械的な障害を伴うものがあります。ですが、他にも様々な呼吸器、循環器、消化器および筋肉の疾患があ…

馬のプアパフォーマンス:整形外科以外の診断について(Ellisら2022) ⑪筋肉 遺伝性筋疾患

プアパフォーマンス 馬におけるプアパフォーマンスの原因は様々です。まず思いつく原因として、整形外科的な疾患では関節炎や腱鞘炎、疲労骨折など疼痛や機械的な障害を伴うものがあります。ですが、他にも様々な呼吸器、循環器、消化器および筋肉の疾患があ…

馬のプアパフォーマンス:整形外科以外の診断について(Ellisら2022) ⑩筋肉 総論

プアパフォーマンス 馬におけるプアパフォーマンスの原因は様々です。まず思いつく原因として、整形外科的な疾患では関節炎や腱鞘炎、疲労骨折など疼痛や機械的な障害を伴うものがあります。ですが、他にも様々な呼吸器、循環器、消化器および筋肉の疾患があ…