育成馬臨床医のメモ帳

このサイトは、育成馬の臨床獣医師が日常の診療で遭遇する症例に関して調べて得た情報をメモとして残すものです。

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

球節背側骨片の診断におけるX線と超音波の比較(Plevinら2021)

前回に続いて球節の骨軟骨片の診断に関する超音波検査とX線検査の比較。 前回はこちら equine-reports.work (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); サラブレッド競走馬の前肢球節に限定した比較を行ったところ、X線検査の骨片検出感度は47%で…

球節背側骨片の診断におけるX線と超音波の比較(Vanderperrenら2009)

球節背側の骨片は、標準的な4方向(内外・背外掌内、背掌、背内掌外像)のX線検査で検出できます。しかし、ときにはわずかなくぼみや透過像として描出されることがあり、このような場合には超音波検査で詳細な観察をすることで骨片の有無や損傷の部位を明ら…

深屈腱橈骨頭の損傷に関連する手根管腱鞘炎11頭(Minshallら2012)

深指屈筋腱は、前肢後面を走行する筋肉で、蹄骨屈筋面に終止します。一方で起始部は3点に分かれており、上腕骨内側上顆から起始する上腕頭、尺骨肘頭から起始する尺骨頭、橈骨中部後内側から起始する橈骨頭があります。 橈骨中部後内側から起始する橈骨頭は…

手根管症候群の手術を受けたトロッター競走馬の成績(Carmaltら2017)

ハイライト スタンダードブレッド競走馬では、手根管症候群の症例馬は走行スピードが速いが、手術日に近づくにつれてスピードが落ちた。 競走復帰率は90.5%で、競走成績や競走寿命は、手根管症候群の症例馬と対照馬で差がなかった。 pubmed.ncbi.nlm.nih.go…

手根管腱鞘の腫脹を伴う馬121頭の筋骨格損傷と跛行(Jorgensenら2015)

手根管腱鞘の腫脹は、育成馬ではまれな疾患ですが、より年齢の高い乗馬ではより多くみられるのかもしれません。 中~高齢馬の手根管腱鞘炎は跛行を伴うことが多く、浅屈腱や浅屈腱支持靱帯が損傷していることが多く、これは超音波検査で診断できることが報告…

慢性手根伸筋腱鞘炎15頭(Plattら1997)

手根部背側の腱構造は、内側から長第一指外転筋、橈側手根伸筋、総指伸筋、外側指伸筋と並んでいます。 多くは障害飛越競技馬で障害のトゲがこの腱鞘に貫通することで炎症が起きると報告されています。しかし、馬房内でも釘や木片が刺さると、貫通して感染が…

化膿性滑液嚢炎における細菌培養:細菌は予後に影響するか(Taylorら2010)

化膿性滑液嚢炎は、滑膜への細菌感染を原因とする病態です。 滑液検体から細菌が培養され、さらに薬剤感受性検査まで可能であった症例は、それをもとにした抗菌薬投与治療を行います。しかし、実際には滑液検体から細菌培養陰性となる症例が多く存在します。…