2024-01-01から1年間の記事一覧
ボーンシストに対する搔爬術は跛行の程度を改善するために有効な治療法であることが示されてきました。しかし大きなボーンシストの病変では治療成績が思うように向上してきませんでした。 これまでの搔爬術では成績の改善に限界がありました。それは関節軟骨…
超音波検査は関節内の軟部組織を評価するのに優れています。軟骨、靭帯のほか、膝関節にしかない半月板も一部は評価することができます。特に大きな関節になればなるほど、超音波で評価できる領域が増えます。 一般的に関節荷重面は評価することが難しく、こ…
関節鏡による大腿骨内側顆のボーンシスト搔爬術はいくつかの成績が報告されています。AAEP2002年にSandler先生が発表した時には、関節鏡で搔爬するシストの大きさが小さいほど復帰率が高いことが報告されました*1。このことから関節面を温存することが大事か…
1998年にコロラド州立大のMcIlwaith先生がまとめられたボーンシストについてのまとめです。少し古めの記事ですが、過去にどのように報告されてきたか、関節ごとにまとめられています。それぞれについて診断や治療オプションについても記載されています。 病…
競走馬のせりではレポジトリ検査として喉頭内視鏡検査とX線検査の結果が公開されています。様々なX線所見が得られ、それが将来的な競走成績にどう影響するのかは関心の高い領域ですが、まだわかっていないことも多いのが現状です。 軽種馬におけるレポジトリ…
大腿骨内側顆の骨嚢胞は跛行とパフォーマンスの低下を引き起こす、若い競走馬に多く見られる疾患であり、育成初期に発症することが多く、育成牧場ではよく問題になります。 この疾患に対してはこれまで様々な治療方法が試みられており、報告されてきた成績を…
1988年にまとめられた報告では、ボーンシストに対して関節切開による病変部の搔爬術が行われていました。術創に関するトラブルは思ったほど少なく、跛行の改善が得られる治療法として報告されました。 この報告においても、病変部の搔爬術後に病変部のX線所…
大腿骨内側顆の骨嚢胞(ボーンシスト)はどの時期に形成されるのでしょうか。1歳せりではよく見かける所見ですが、当歳の時期からすでに所見があるのでしょうか。日本の日高地方ではせりに向けて1歳の7月から9月に検査が行われるため、3月から4月に生まれた…
胸腰椎、腰仙椎および仙腸関節の病変はプアパフォーマンスの原因になることが明らかにされてきました。棘突起衝突や椎体間関節炎についてよくわかってきましたが、脊椎症についてはまだ情報が限られています。脊椎症は椎体間の関節癒合または変形性疾患で、…
椎骨の病態は馬における跛行や背部痛の原因となりますが、腰椎には手が届かず、診断や治療の方法が限定されていて難しいのが現状です。しかしながら、競走中に椎骨の骨折が起こることがあり、そのほとんどは腰椎で発生します。腰椎の骨折は、典型的には外傷…
第一指骨/趾骨(P1)の矢状骨折はさまざまなタイプに分類されていて、古い文献のため矢状骨折の長さの分類は最近のものとは異なっています。 矢状骨折は、短い不完全骨折が骨体の半分以下、長い不完全骨折が骨体の半分以上および完全骨折に分類されています…
いわゆる背骨を構成している胸椎、腰椎および仙椎と、それに連続する骨盤は、馬に特徴的な構造と安定性があり、このことで人間が乗ることが可能になっています。 しかし、競走中の負荷がこれらの構造に蓄積されることにより疲労性障害を起こし、最終的には骨…
馬の炎症性腸疾患【IBD】は、腸管にさまざまな炎症細胞が集積する病態の総称です。 主となる細胞や炎症がおよんでいる部位などから、いくつかの病型に分類されます。主なものは、リンパ球ー形質細胞性腸炎(LPE)、肉芽腫性腸炎(GE)、全身性好酸球性上皮親和性…
治療 治療の目的は、馬が抗原になりうる食べ物、寄生虫および環境要因に暴露されることを少なくすることである。 犬では、治療法が標準化されていて、治療の最初の一歩は食事の変更であり、タンパク質や炭水化物の供給源もしくは市販されている加水分解され…
IBD罹患馬の臨床的および診断的評価 多くの臨床家によってIBDの明確な診断ガイドラインが腫脹されたが、筆者の意見では、臨床検査は段階的に進めていくべきで、侵襲の小さい検査から始め、侵襲の大きい検査に進むべきである。IBDは非特異的な臨床症状が特徴…
IBD罹患馬の臨床的および診断的評価 多くの臨床家によってIBDの明確な診断ガイドラインが腫脹されたが、筆者の意見では、臨床検査は段階的に進めていくべきで、侵襲の小さい検査から始め、侵襲の大きい検査に進むべきである。IBDは非特異的な臨床症状が特徴…
IBD罹患馬の臨床的および診断的評価 多くの臨床家によってIBDの明確な診断ガイドラインが腫脹されたが、筆者の意見では、臨床検査は段階的に進めていくべきで、侵襲の小さい検査から始め、侵襲の大きい検査に進むべきである。IBDは非特異的な臨床症状が特徴…
肉芽腫性腸炎(GE) 初めに報告されたIBDのタイプで、この100年で最も多く報告されてきたが、近年では見られなくなってきた。特徴は粘膜固有層レベルでのリンパ球およびマクロファージの浸潤があり、形質細胞や虚細胞の数は様々である。絨毛の萎縮が顕著で、病…
はじめに 炎症性腸疾患(IBD)は、ヒトと動物の両方において消化管の炎症の再発を特徴とする衰弱性疾患として記述されている一群の消化管疾患である。馬では、IBDは粘膜や粘膜下織に異なるタイプの炎症性細胞が浸潤するものとして認識され、発症機序はまだ解明…
EIPHが馬に与える影響について、これまでに行われた調査をワーキンググループが精査してエビデンスを評価したものが公開されています。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); EIPHについて考察と勧告 コンセンサスのパネルから言えることは …
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EIPHが馬に与える影響について、これまでに行われた調査をワーキンググループが精査してエビデンスを評価したものが公開されています。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); EIPHの予防方法について EIPHに対する治療方針はほとんど示されて…
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EIPHが馬に与える影響について、これまでに行われた調査をワーキンググループが精査してエビデンスを評価したものが公開されています。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 臨床症状について EIPHの診断のゴールドスタンダードは、内視鏡ま…
競走馬のEIPHによる鼻出血は、年齢が高くなるほど発生しやすいことがわかっていますが、育成馬にも見られる疾患です。 EIPHについては多くのレポートがあり、多くの文献を北米獣医内科学会が中心となり、ナラティブレビューというよりはシステマティックレビ…
馬の運動誘発性肺出血は、競走馬においてまれに発生する疾患で、パフォーマンス減退の原因となります。 日本の競走馬におけるEIPHの発生 2001年にJAVMAに掲載された報告では、日本の競走馬におけるEIPHによる鼻出血の発生率は0.15%とされています。発生に関…
前回と同じ症例シリーズで、手術後の成績を比較検討した文献があります。 equine-reports.work これまでにも骨折の形状や部位および変位の有無などが競走復帰の予後に影響することが明らかにされてきました。変位のある骨折では内固定手術が必要で、予後は悪…
第三中手骨および中足骨の顆骨折は、競走馬の球節において一般的に見られる骨折で、サラブレッドやスタンダードブレッドで報告されているものがほとんどです。この骨折は急性の発症メカニズムと考えられてきましたが、近年の調査からストレス性の変化が掌側…
球節の軟骨下骨嚢胞は第一指/趾骨または第三中手/中足骨に関連してみられることが知られています。若い馬に多くみつかり、軽度から中程度の跛行を示すものの、関節の腫脹を伴う症例が多くないことが特徴です。診断麻酔後にX線検査を行うことで発見されること…
蹄骨の軟骨下骨嚢胞は跛行の原因となることがあり、保存療法でも比較的良好な予後が得られることは前回の記事で紹介しました。 equine-reports.work しかしながら、保存療法で跛行が消えない場合には、関節鏡下での搔爬術が考慮されます。 pubmed.ncbi.nlm.n…