”要約
研究を実施した理由
深屈腱支持靭帯のMRIおよび組織学的所見を詳細に記録した報告はこれまでにない。
目的
①深屈腱支持靭帯と周囲組織との解剖学的なつながりを記述すること。
②腕節から中手近位部の疼痛がない馬の、深屈腱支持靭帯の高磁場および低磁場のMRIおよび組織学的所見を記述すること。
③年齢、血統、性別、体高および体重とMRI所見の相関を評価すること。
方法
支持靭帯と周囲組織の解剖学的な関連を明らかにするため、前肢10肢を解剖した。跛行のない馬の解剖体の29肢を用いて、支持靭帯の高磁場および低磁場MRIを撮像し、所見を主観的および客観的に解析した。年齢、血統、性別、体高および体重とMRI所見との関連をχ2乗検定を用いて評価した。12肢の支持靭帯は組織学的検査を行った。組織学所見とMRI所見を主観的に比較した。
結果
支持靭帯と浅屈腱(n=9)および深屈腱(n=2)の外側面の間に線維束がみられた。高磁場および低磁場のMRIでは、深屈腱支持靭帯は低から中程度の信号強度であった。高磁場MRIでは、69%で他の組織より高信号な斜めに走行する線維束を認めた。中手近位部から7㎝の位置で支持靭帯の横断面積は68.1-299mm²であった。年齢、性別、体重および体高と、支持靭帯の横断面積および斜めの高信号線維束があることとの有意な関連はなかった。組織学的な検査では、支持靭帯には分厚いコラーゲン線維の束が大きなカール状に並んでいて、ときどき斜めの走行も認めた。全ての肢で深屈腱より支持靭帯の方が細胞質は大きかった。
結論と潜在的関連性
跛行のない馬でも支持靭帯のMRI所見や大きさに大きなばらつきがあり、跛行のある馬のMRI所見を解釈するときには留意するべきだ。”